勝浦の朝市で一番古い店『きんつばや』。赤沼恒夫さん(84)とふみさん(81)夫妻が50年以上も屋台で『きんつば』を売っている。
きんつばとは一般的に六面体の面に粉をつけて焼いた菓子をいうが、地元では今川焼きをきんつばという。赤沼さんのきんつばは表面に黒ゴマをつけて焼くのが特徴。
「粉の一割五分は砂糖を使い、アレルギーの子が多くなったので10年位前から卵を使わなくなった。卵を使わず以前と同じ味にするのはむずかしく苦労した。焼きあがったらまず最初に食べてみるが、自分で満足できるのは月に一度くらい」と赤沼さん。
1個40円。平日は300から350個だが、土日は倍近く売れるという。営業はだいたい10時半ごろまで。その前に売れてしまえば店を閉め、次の日の準備に取りかかる。観光で朝市に来た人はもちろん、10個20個と買っていく近所の人も多い。続けて焼いているのに焼き上がりが追いつかず、時々、人だかりができてしまうことも。
「完成されたというより、懐かしさを感じる味とでも言うのかな。特に皮がおいしい。ちょっと小さめで食べやすいのもいい」と年配の男性。小さな紙袋に入れてもらい、食べながら朝市を歩ける気軽さも受けているようだ。
「毎日続けたいから無理はしない。儲けようとも思わないから30年以上値段は同じ」
昭和32年から使っているという屋台に「朝市の味」と書かれた大きなしゃもじが看板代わり。屋台の前では椅子に座ったふみさんが手際よくきんつばを包んでいく。夫婦が二人三脚で築き上げてきた朝市の味といえるだろう。水曜定休。 (大谷)