人通りもまばらな茂原駅東口に、オープンの12時を待たず、次々とお客さんが訪れる店がある。その度に、「すみません。まだなんですよ」と申し訳なさそうに頭を下げるのは、昭和40年代に両親が開店した『仲屋たい焼店』の味を守る土屋美知代さん(51)だ。
鋳物のたい焼の型を使い、ひとつずつ焼き上げていくスタイルは、9年前に亡くなった父親の鵜沢喜作さんと母親のきよさん(85)が店に立っていた当時のまま。両親が試行錯誤でブレンドを考え出した香ばしくパリパリに焼きあがる生地と、自家製の甘さ控えめのあんが今も人気の秘密だ。遠く市原や千葉から買いに来る人もいるという。
「ウチのあんこはじっくり煮ているので、小豆の皮までやわらかくてしつこくないと思います。あるおばあちゃんが、つぶあんが嫌いなお孫さんがここのあんこだけは食べるのよって。あんこだけ買っていかれる方もいるんですよ」と美知代さん。取材でおじゃました日も、開店と同時に10個、20個と買いにくるお客さんが。近くの市民センターに行く途中という女性は、「おじいちゃんのころから来ています。しっぽまで入っているあんこがおいしいんですよ」と。午後のお茶うけにと車で買いに来たご夫婦は、「ちょっと遠回りだったんですけどどうしても食べたくて」。
そんなお客さんに、「本当にありがたいです」と美知代さん。たい焼は何といっても焼きたてがいちばんだが、冷めてしまったら、「一度レンジで20、30秒あんをあたため、オーブントースターで皮をパリパリに焼けばまたおいしく食べられますよ」と教えてくれた。味はあんこのみ。1個110円。営業は昼12時〜4時半。火曜定休。(菅家)