「九十九里の片貝に、先日テレビで紹介された、美味しい郷土料理を作る女性がいるよ」と情報をいただいた。
テレビで絶賛された郷土料理『ほろほろ丼』とは?イワシやサンマで有名な九十九里で「まさかホロホロ鳥の料理?」さっそく出向いた。
御主人亡き後、酒井保江さんと娘さん2人、母娘3人で営む『酒井水産』の調理室で保江さんに『ほろほろ丼』を作っていただく。三枚におろしたイワシの骨を取り除き包丁でたたいたものを炒め、みじん切りのショウガと調味料(砂糖、味噌、酒)を加え混ぜて煎るようにして、そぼろ状にしたものを、丼ごはんにのせた料理だった。シンプルだが、タレントの照英さんが「旨い!」を連発していたのがよくわかる丼物。
この料理は、娘さんたちが幼い頃、手早くでき「何もない時」によく作ったという。たくさんのイワシを使うので、カルシウムたっぷり。老若男女問わず好まれる味付けである。ご本人は「郷土料理というより家庭料理だから」と謙遜するが、評判をききつけ、近くの飲食店からも「うちのメニューにしてもいいか」と頼まれたとか。「酒井さんが作ったものは広まる」とは周囲の声だが、とにかく「自分が美味しいものを食べた時、嬉しくなるでしょ。そういうものを作ろうと、いつも思っているの」と話す保江さん。
特に宣伝はしないのだが、クチコミで酒井さんのつくる加工品は常連客が多い。ニンジンやダイコンの色合いとイワシなど青魚の取り合わせが、皿に盛り付けるときれいな『野菜漬け』は、約20年前に酒井さんが考えた。正月など家に人が集まる「人よせごとの時に重宝がられる一品」だそう。
かつて「なれ寿司」とも「くされ寿司」とも呼ばれた郷土料理『サンマ寿司』も、新鮮なサンマが手に入るからこそできるものだが、その酢の締め具合がちょうど良いと人気の商品だ。
調理の手間もいとわないが、汁気がつきすぎないように容器の底に仕切をいれるなど、おいしく食べてもらうための心遣いも惜しまない。販売する商品も、小分けにしたパックも用意してある気遣いも。
また、みりん干しやイワシのフライは、県内の小学校の給食にもだされている。(内田)
九十九里名物となった『サンマ寿司』『野菜漬け』ほか、みりん干し、生姜煮、ゴマ漬け、干物など、酒井さん母娘手作りの味は、直接、加工所に行くか、宅急便での注文も受け付けている。