昨年8月、鶴舞に『まちづくり協議会』が発足した。過疎化が進み、商店が減った自分たちの街を活性化させたいと、住民たちが設立したものだ。
きっかけは、鶴舞小学校の同窓会だった。「4、5人で、飲んでいたときですね。私たちは還暦を過ぎて、時間的にも経済的にも少し余裕がでてきた。せっかくだから、地域のために何かしたいという話が出たんです」と協議会会長・古関幹雄さん。さっそく町内会をはじめとする地域の各団体に声をかけ、協力を頼んだ。町内会では、どんな活動が必要か、盛り上げるためには何をするのかなどの話し合いが重ねられ、47名の役員が決まり、有志の参加者が集まって、協議会の組織となった。
鶴舞のまちづくりのコンセプトは、心身の健康をはかり、誰もが安心と生きがいをもって暮らせる『ウェルネスリゾート』。千葉県循環器センターや身体障害者療護施設などの医療福祉施設や、鶴舞藩城下町という歴史・文化、緑豊かな自然環境を生かして、総合的なまちづくりをしていこう、という考えだ。「もともと鶴舞は周辺地域のなかで水の名所と言われてきました。そこで、きれいな水・空気・緑をこのまま残し、お年よりや障害を持つ人たちが安全に街を自由に行き来できるような、バリアフリーのまちづくりをと思っています」と古関さん。
遊歩道や公園、路地の整備、鶴舞の歴史や文化に触れられるミュージアムの建設など、アイデアも数多くある。それを、参加者たちが環境、観光、福祉、文化、鶴舞周辺地域など、テーマ別に分担し、実現するためにはどんな問題があるのかなどを研究、行政の協力を得ながら進めていく。これまでの活動では、フリマやライブ、公道を使った車いすレースなど、まちづくりへの参加を呼びかける地域の交流イベント『ルネッサンス2000』の開催、産廃の不法投棄・埋め立ての中止・撤去を求めて署名運動を行い、議会の承認を受けたことなどがある。
現在、検討されているのは、鶴舞を故郷とする人たちから望まれている桜並木の復活。鶴舞は桜の名所として知られているが、以前はメイン通りに600m、両側の大木がトンネルのようになって、街のシンボルだったという。道路の拡張や、老木となり倒れる危険などで伐られ、今は数が減った。復活させるには、道路脇にかなり広いスペースが必要で、地権者の数も多く、実現は難しいという。そこで、できるところから増やそうと、鶴舞の桜の手入れをし続けている『桜の会』が中心となり、まず、池和田城跡に植樹を予定している。
また、農地用堰(せき)の周囲に遊歩道を作る計画も進行中だ。どんな日照りであっても涸れないと言われている堰は、協議会メンバーが子どものころに泳いだという湧き水。今もきれいな水を湛えているが、この約20年、まったく周囲の手入れがされなかったため、竹やぶとなって、人が入れなくなっていた。昨年から、草刈機でやぶを切り開き、昔の小道を復活させたので、今は周囲の住民たちが近道や散歩に使うようになったという。やがては、ここに花を植え、親水公園のようにつくりたい、というのがメンバー達の願いだ。
「このまちづくりは数年で終わるものではなく、この地域に住む多くの人たちの要望を取り入れて、地道に続けていくものです。20年、30年後、鶴舞はいいところだと、他の地域の人たちが気軽に遊びに来てくれるように、みんなで協力し合っていきたいと思っています」。
(米)