JR東金線、福俵駅の近くにある大和公民館で、種まきから収穫、製粉、そば打ちまで挑戦している人達がいる。以前から、年末になると自分たちが育てたそばを業者に製粉してもらい、婦人学級の料理教室でそばを打っていた。
それが4年前、どうせなら自分たちで製粉もしようと、現館長の岡本さんが寄付した石臼でそば粉をひくようになった。
岡本さんは自他とも認めるそば好きで、自宅でもそばを打って食べているほど。今ではこのそば打ち教室が公民館主催の行事として行われている。昨年は12名がこの活動に参加した。
毎年8月、約130坪の畑にそばを蒔く。暑い盛りの作業だ。そばは荒れ地でも栽培出来ると言うが、今年は少々肥料を入れた。9月には白い花を咲かせる。そばは5、6センチの頃、お浸しで食べても香りがあり、美味しいという。
「3ヶ月後の11月には収穫できます。黒くなったそばだけを手で取り、天日に干します。すべて手作業なので、この収穫の時が一番大変です」と岡本さん。その時の気候も作用するが、そばは約2週間で粉にできるほど乾燥する。
その後石臼で3度ほどひき、そのつどふるいにかけ、そば粉とそばがらに分けていく。ふるいの目が細かいとより皮の部分がとれるので、白いそば粉ができる。それを強力粉に混ぜ、そばを打つ。小麦粉の割合でそばの食感が変わる。ここでは小麦粉とそば粉が半分ずつで、初心者でも作りやすいという。
「ここに来て、お店で食べるそばに黒いものが混ざっているのが、そばの皮だと知りました」と参加者の一人。
そば粉に2〜3回に分けて水を入れる。この時、手ではじくように水を入れ混ぜると、ポロポロになってくる。それが“はな”になる状態だという。そしてはなの状態になったら、水は入れず、手前から中へ押すようにして色むらがなくなり、耳たぶ位の堅さになるまで練る。この時使う水はカルキの入った水道水を避け、天然水。
「そば打ちは子育てと同じ。手はかかるけど、構い過ぎてはダメ。やはり経験が必要ですね」と、このそば打ち教室が始まった頃からの参加者。
そして、そばをボール状のかたまりにまとめ、それを掌で平らにし、打ち粉とめん棒で縁をつぶさないよう伸ばしていく。この時の打ち粉も粗い目でふるったそば粉と小麦粉を混ぜたもの。何度も打ち粉をふりながら、なるべく四角くなるように伸ばしていく。この作業もなかなか難しいようだ。
厚さが1・5〜2ミリ位まで伸びたら、切る作業になる。たたんだそばを、専用の包丁で切っていく。なかなか同じ太さにはならないが、慣れてくるとリズムができ、スムーズになってくる。
初めて参加する人も多く、失敗しても実に楽しそうだ。この後、たっぷりの水の量でそばをゆがく。
そして飛び入りで参加した人も交え、試食会が行われた。ネギやきざみ海苔はもちろん、ユズを皮ごと薄く切った好みの薬味も用意されていた。
残念ながら今回のそばは、ゆでると短くきれてしまったが「噛む回数が減って良かった」と気にならない様子。
また、旅行に行った先々でそばを味わうと言う人は「そばを食べるまで、長い道のりでした。そば作りの全ての工程に自分が参加してきた苦労も、今日のそばの味です。国産のそば粉だけを使うそば屋は少ないので、ここで味わうそばは本当に貴重なものだと言えます」。
自然食ブームの昨今。そばを打つ人は多い。しかし、何から何まで自分の手をかけ、そばを食する贅沢はここでしか味わえないかもしれない。
このそば打ち教室は、毎年5月か6月に広報で参加者を募集する。原則として種まき、収穫、製粉、そば打ちの工程に参加出来る人で、東金市に住んでいることが条件。会費などは無料。