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NO.34

山武町巻き寿司教室

山武の食文化としての誇りと自信・太巻き寿司

 房総では県産の米や海苔、野菜などを使った太巻き寿司が郷土料理として名高い。
山武地域でも冠婚葬祭など、人が集まる時のごちそうとしてこの太巻き寿司が作られている。
 そのルーツは、江戸時代末期、葬式の握り飯の芯に芋茎の甘辛く煮たものを海苔で巻いたのが始まりといわれている。
 そしてその芯に何か模様をつけたら面白いと、山ができ、チューリップが咲き、家紋、文字と工夫が積み重ねられてきた。別名「絵巻き寿司」とも言われる。
 以前はこのような技術を母から子どもなど家族内で伝えられ、地元の人にはあまり継承されてこなかった。しかし、米の消費拡大や房総の食文化の次世代へ継承するため、近年、行政がバックアップしてこの技術を一般に紹介している。
 山武町役場が主催する巻き寿司教室は年3回から4回開催され、初心者も上級者も同じ教室で学んでいる。  
 普段は20名以上の参加があるが、米の刈入れの時期と重なり、当日集まったのは10名。各自、自宅ですし飯や中に巻き込む具のかんぴょう、卵焼きなどを作って教室に集まった。
「一回の教室で二つの模様を教えますが、巻いてみたいと思うものはそのつど教えています。一度私が巻いて、次に自分でやってもらいます。その模様の違いを見てもらってもう一度巻いてもらいます。運動会などが近いと、皆さん張り切ってくれます」と、講師の細野朝子さん。
 材料も以前は卵焼きやかんぴょう、芋茎が主だったが、最近は季節の野菜、ソーセージ、チーズなど、バラエティに富んだ素材がふんだんに使われている。
 また、着色には紫はツルムラサキの実、黄色はくちなしの実など、天然の植物を使うことで、安全面にも考慮がなされている。
「子どもが喜んで食べるので、彩ばかりでなく栄養にも気を使っています。また、この巻き寿司は作って楽しく、見栄えがよく、お客様に出すと大抵の方は驚かれ、作り方を聞かれたりするので話が弾みます。豪華に見える割に材料は身近にある物で足りてしまうので、本当は経済的なんですよ」。「作り方を聞く前に母が亡くなってしまったので、ここで教わっています。せっかくの技術ですから子どもにも伝えたいと思っています」と、教室に通う方の巻き寿司を習う理由も様々。
 春は梅、たんぽぽ。夏はひまわり、ひょうたん。秋はもみじやとんぼなど、ここで習ったものはあくまでも基本。それぞれが工夫し、独自の模様を作る。
 花の模様に枝がつき、それにつぼみが入るなどでどんどん模様が増えてくる。それで現在100とも200ともいわれる模様が存在する。
 味付けも酢や砂糖の加減でその家の味になり、運動会や村の祭りには、我が家の自慢の寿司が振舞われる。
「簡単な巻き寿司をひとつお教えしましょう。普通の白いすし飯(250g)と粉末すし酢を混ぜ、ピンクにしたもの(180g)を用意します。海苔は2枚4分の1、山ごぼうなど1本。4分の1の海苔にピンクのすし飯をおき,、巻きすで細まきを5本作ります。山ごぼうを芯にして5本の細まきをウメの花のように作ります。1枚の海苔に白いすし飯を広げ、そこに先ほど作った花を中心におき、巻き上げます。簡単でしょう。中身は各家庭で工夫してくださいね。“考えるより慣れろ”といって、まずは作ってみてください。きっと違う模様に挑戦したくなりますよ」と細野さん。
 講習会の後、4人の講師の勉強会が行われた。講師らは次回の寿司の模様を考え、指導方法を話し合った。その真剣な態度に、芸術品ともいえる食の文化を次世代に継承してゆく責任、また、郷土料理への深い愛情を感じた。  (大谷)     

山武町産業課・竹宮さん
TEL0475-89-3636


 



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