雨、雨、ふれ、ふれ、 かあさんが/蛇の目でお迎えうれしいな/ピッチピッチ、チャプチャプ、 ランランラン
雨でゆううつかと思いきや、母親に迎えに来てもらって喜ぶ無邪気な子ども心を歌った『雨』。蛇の目傘が車のお迎えになっても、子どもの心は変わらないのかもしれない。童謡には人々の心や季節の情景など、日常生活が盛り込まれたものが多い。
誰にでも親しめる童謡を地域に広げる活動をしているサークル『いちはら童謡を歌う会』のメンバーは、50〜70歳代の約50名。練習は三和コミュニティセンターと南総公民館での月2回。レパートリーは、小学校で歌われる童謡などを中心にした80曲。
会発足のきっかけは、1999年南総公民館で行われた秋の公民館祭りでのことだった。来館者に童謡の歌詞カードを配って皆で歌う『100人コーラス』が企画された。そのとき居合わせた数名が「皆で歌う楽しさをこのままで終らせてしまうのは寂しい」と会立ち上げの準備を始めたという。会のスタートは翌2000年の3月と決め、仲間を集め練習に励んだ。「子どもたちに童謡を聴いてほしかったので、春休みの3月にしました」と代表の伊藤正子さん。以来、毎年3月にはYOUホールで『春休み童謡の集い』の発表会を開催する。昨年からは市の教育委員会の後援も受け、市長からも活動に対する期待がメッセージとして送られるようになった。今年3月25日、五所小学校と平和園音楽クラブも参加して開催された発表会は、大盛況だった。
会では、会員同士の親睦を深めるため県内の童謡の歌碑めぐりなども行っている。年に数回、市内の小学校や福祉施設を訪問して歌ったりもする。「小学校では必ず一番初めに、その学校の校歌を歌うことにしています。事前に楽譜を手に入れて練習していくのです。子どもたちはびっくりしながらも喜んでくれて、童謡も楽しんで聴いてくれます」。自分の孫のような子どもたちとの交流は、会員の楽しみのひとつになっているという。はじめは無表情だった老人福祉施設の入所者も歌を聴くうちに昔を思い出し、一緒に口ずさんでくれるのだという。
夕焼け小焼けの、赤とんぼ/負われて見たのは いつの日か/山の畑の桑の実を、小籠に摘んだは、まぼろしか/十五で姐やは嫁に行き、お里の便りも絶えはてた/夕焼け小焼けの、赤とんぼ/とまっているよ、竿の先
しんみりと心に染み込むメロディーの『赤とんぼ』。今は15で嫁に行くことはないが、そういう時代も日本にあったことを歌が伝える。会で歌の指導をする三上公一(きんいち)さんは、歌詞の一つひとつにある時代背景をふまえて解説する。習った通りに歌うだけでなく、歌詞に込められている意味を理解したほうが歌に深みが増すという。「とにかく楽しく歌うことが大切です。童謡や愛唱歌には、学校の教科書で習わない庶民の風習や遊びが歌になっているものが多いですね。日本人がどんな生活をしてきたのか、そのようなことを伝えるように歌っていきたいものです」と話す。会員たちにも「わかりやすくて勉強になる」と好評。他にも専属でピアノ伴奏を担当してくれるプロのピアニストがいるおかげで、歌の音程を正確にとる練習が楽しくできるという。
「楽譜が読めなくても童謡なら聞き覚えがあるので、歌詞カードだけでも歌えます。何よりも大きな声で歌うことが楽しい」「習い覚えた歌を孫に聞かせたら『もっと歌って』と喜んでくれたので、ますます歌が好きになりました」とメンバーたち。「日本人の心を伝える童謡を21世紀に残していくためにも仲間と楽しく歌い続けていきたい」と伊藤さん。興味のある人は、気軽に参加して欲しいと呼びかける。 (斉)