子どもの頃、道ばたの葉っぱを口に当て、音を出した経験は誰でもあるはず。
そんな懐かしい草笛を広めようとする加藤ノイさん(59)のもとに集まるのは八街ふれあいルームのメンバーの皆さん。会員は21名ほど。出席は自由でその日、練習に参加した人が、それぞれ500円の会場費を払う。
八街市に住む加藤さんが草笛を始めたのは6年前。ある会のアトラクションで草笛を聴いたのが最初だった。その後、東京まで練習に通い、3年前から指導を始めた。
「老人ホームなどで草笛を吹くボランティアをしていましたが、お年寄りの皆さんが喜んでくださるので、もっと草笛を吹ける人が増えればいいなと思い、指導してきました。意外と関心のある方が多いので驚きました」と加藤さん。
草笛は、葉っぱに息を吹きかけ、息の強弱や唇の形の微妙な変化で音階をつくり、曲を楽しむもの。葉の大きさや厚さでも音が違うので、自分にあった葉を探すのも楽しみのひとつだ。
「今の季節、よく使うのはクチナシやオオムラサキなど。観葉植物のカラティアやスパティフィラムもいい音が出ますよ。使う時、ちょっと湿らせるのがコツです」とメンバー。
最初はひとつの音階の音を長く出すようにし、その後、高い音と低い音を交互に出してみる。それができれば、知っている曲なら吹けるという。「口笛を吹くのに似ています。音が出るまでが大変ですが、出てしまえばいつのまにか曲ができますよ」と加藤さん。
老人介護のヘルパーをやっているメンバーは、「お年寄りに吹いてあげようと始めました。葉っぱ1枚あればいいので、楽器を持っていくこともありません。姑は重度の痴呆症で、要介護5です。しかも失語症でテレビを見ても認識できないくらいでしたが、私が『りんごの唄』を草笛で吹いたら、曲の2番まで歌ったんです。主人は奇跡だと言っていました」と語る。
また、「週休2日制で休みが多くなる子ども達に教えようと草笛を始めました。葉っぱだけじゃなく、カツオだしの袋を葉っぱの形に切り取って使ったりしています。楽しいですよ」と、小学校の元教師だったメンバー。
みんなで演奏すると、不思議に上手くなる。自分では出ない音も、誰かが出してくれるので、リラックスして演奏ができるからだと加藤さんは話す。
先月、加藤さんを講師としたブナの森で草笛演奏を楽しむ1泊2日の旅行に、会の何人かのメンバーが参加した。会場となったのは群馬県、玉原高原。約600種といわれる木や草があるといわれる。
「森の中で草笛を吹くと音が良く通り、また反響してくる音も最高でした。『夏の思い出』、『山小屋の灯』、『四季の歌』など、まわりにある草木の新芽を摘んでは演奏しました」と加藤さん。
加藤さんはまた、葉っぱの色と形をした人造草笛『リーフル』の考案者である。「演奏中に葉っぱが破れても、指輪やブレスレッド型のリーフル(特許出願済)に代え、演奏が続けられます」
子どもから大人まで楽しめる草笛だが、草笛の演奏は腹式呼吸の訓練になり、健康に良いとのこと。参加者を募集中。
8月3日(土)土気駅から徒歩1分のイベントホールで演奏会を開く。当日、メンバーらによる曲の演奏の他に、草笛教室も開催する予定。 (大谷)