「ひとりで楽しむより、みんなで集まったほうが積極的に活動できる」と、写真を趣味とするメンバーが集まって、1981年2月『鶴舞写友会』ができた。会長の鶴岡暉也(てるや)さんは若い頃から写真を始め、全国レベルの作品展で大賞を受賞している。現在、会員は9名。鶴舞在住のメンバーが多く、皆県展などでの受賞経験を持つ。
月に1度の例会では、個人で自由に撮った写真を持ち寄り、互いに批評し合う。作品を見る目がついてくるに伴って、持ち寄る写真の枚数が減ってくるという。「自分のイメージした仕上がりでなかったり、この程度では駄目だと自分で判断できるようになるからです。写真の腕が上達するほど、自分の作品に対しての目が厳しくなっていくんですね」と鶴岡さん。会では、年に2回県外への撮影旅行を企画する他、年に1度開催する作品展ではテーマを決めて取り組んでいる。
今年は9月中旬。市原市水と彫刻の丘を会場に、第9回作品展『長屋門と古民家』のテーマで開催した。これまで『石仏』『小湊鉄道』『養老川』などをテーマとして撮ってきた。「市原の住民ですから、地域に関わりの深いテーマを選ぶようにしています。自分たちの住む土地がどういうところなのか、写真を通して考えていきたいのです。特に今回の『長屋門と古民家』は、次第に市原からなくなっていく茅葺屋根や蔵、長屋門を、今取り上げておかなければという気持ちで取り組みました」
会員は、テーマが決まったら自分の足で古民家を探して歩く。その準備期間だけで1年かかるという。写真を撮るだけでなく、その土地の人たちとのふれ合いもある。古い家を維持していくことの大変さなども教わった。昔はどこでも当たり前にあった風景。住む人が年老いたり、世代が替わることによって住まい方も変わっていく。「新しいのが悪いのではありません。私たちは昔からあった風景を忘れたくないのです」と鶴岡さんは話す。今年の作品展には、200名以上の人が訪れた。「懐かしい気持ちになった」「市原にもまだまだこんなに温かい場所があるんですね」と好評だった。「他にもこんな家があるよ」と情報を教えてくれる人もいた。来年は『古寺、名刹』を予定している。
「写真は、一瞬の光と影を切り取ること。同じ場所に立っても、同じ写真は2度と撮れない。どれだけすばらしい風景に出会えるか、感動する場面に立ち会えるかが良い写真になる決め手だ」と鶴岡さんはいう。昼の陽光より、光の加減が微妙に変わっていく早朝や夕暮れ、雨の朝などが写真を撮るには適しているという。何時間も待って一瞬のシャッターチャンスを狙う。一つの構図で何種類もの写真を撮る。それでも使える写真になるとは限らない。「写真の魅力は『いい写真が撮れないこと』です。だから本当にいい写真を撮りたくなってあちこち出かけて行けるのです。はまり込んだら最後、奥が深くて楽しい世界ですよ」。カメラやフィルムの質が向上し、価格も手頃になった今、写真は身近な趣味になった。簡単に撮れるようになっても、良い写真を撮るのは難しい。
『鶴舞写友会』の作品は、鶴舞にある『千葉県循環器病センター』(鶴舞病院)のロビーや食堂に常時展示されている。「病院ですから、見る人が明るく元気な気分になれたり、気持ちがなごんだりするような作品を展示しています」と会員の高石さん。作品は、季節に合わせたものを2カ月に1度、入れ替える。写真を見るためにセンターを訪れる人も多い。「見る人の心が動いてくれれば、写真をやってて本当によかったと思います。一瞬を狙って写した作品が、見る人にとっては永遠になるのです」。
『鶴舞写友会』は、写真を通じて郷土の美しさ良さを再発見し、地域とかかわっていこうと活動している。 (斉)