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NO.54

―自然と遊ぶ会(茂原市)―


ひとつの花から広がる世界
ボタニカル・アートを楽しむ

 茂原に5年前、ボタニカル・アートの会、『自然とあそぶ会』が発足した。ボタニカル・アートとは主に植物の精密画で、ヨーロッパで17〜18世紀頃、貴族の子女の高尚な趣味として誕生し、その後芸術として発展。日本では江戸時代、城主が自分の領地内にある薬草の分布を調べる際、絵師に精密な絵を描かせたことから始まったといわれる。
 代表の高坂政敏さん(53)は花の生産者。「自分が交配し作った花が絵になればいいな」と、図鑑などに精密画を描くイラストレーターの浅井さんに講師をお願いし、会を立ち上げた。
「最初は新しい品種ができると写真を撮っていたのですが、写真では見えないところが出てくることに気が付きました。見た感じがよければいいのではなく、科学的な精密さが必要になってきたんです」と高坂さん。
 植物を概念的に理解していたのでは精密な絵は描けないと、8倍位の顕微鏡で観察し、花びらや額などを「分解」しながら、その仕組みも理解していく。
「きれいな絵を部屋に飾りたい」、「押し花だと変色するので、きれいな花の色を残したい」と「単純な理由」で始めた会員もいるが、回を追うごとに欲が出てきて、絵が精密になり、時間がかかってしまうという。1枚の絵を仕上げるのに短くて15時間。長いもので2カ月もかかる事もあるそうだ。 
 使う絵具はアクリル樹脂。水彩と違って、何度も塗り直しができる上、絵具を重ねる事によって絵に深みが出てくる。
「普通の教室では水彩絵具を使うので、書き直しているとだんだん汚くなってしまいます。ここではアクリルを使うので失敗を恐れず、描けるようになりました」と会員。
 絵を描く経験が少なく花のスケッチが難しいと
感じる会員が多いので、先生の絵を模写する事から始める。「模写で1枚の絵が完成すると自信がつきます。何枚か模写でテクニックを覚えたら、次は自分が見て感動した花や草を描くようにします。そこから初めてボタニカル・アートが始まると言えます」と浅井先生。
 5人で始めた会だったが、今では12名が在籍し、浅井さんの自宅では手狭になってきた。それで以前、知り合いが陶芸をやるために作ったという家を浅井さんが借り受け、アトリエとして使うようになった。
 最近では会員の協力で家の敷地内に井戸を掘り、自然の回復力を生かし、多様な生物が生息できる空間のビオ・トープも作った。5メートルほど土を掘って、出てくる水を汲み上げ、3個の木炭に砂、砂利をはさんだ浄水器で浄化し、池に流している。細い水路でつなげた池が3つ。そのひとつに地元で捕れた魚を放したが、1カ月も経つとメダカが増え、ゲンゴロウやアメンボが生息しだした。
「湿生植物を含む以前はこの地域にあったという植物を生えさせ、それを観察し絵を描くのが目的です」と浅井先生。
 今後はこのビオ・トープで蛍を育て、鑑賞することも考えている。
 植物画を描く事から始まった会だったが、どんどん活動の幅が広がり、植物の観察会はもとより、藍染、味噌や漬物づくりも行なってきている。今年10月に絵の発表会を予定。 (大谷)

会員募集中。第2・4(土)、19時〜。1回千五百円。
問 高坂政敏さん
TEL0475・23・4100


講師の浅井さん

代表の高坂さん

  



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