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NO.78

― 謡曲「翠謡会」 ―


    物語を謡う楽しさを広めたい

 約600年の歴史を持つ能は、舞踏、劇、音楽などの諸要素が交じりあった現存世界最古の舞台芸術。中世、庶民にもてはやされた猿楽から発祥し、室町時代に観阿弥、世阿弥親子によって大成された。江戸時代には、武家の式楽として幕府や大名に保護された。能は謡と舞と囃子からなる。謡の部分を『謡曲』という。謡曲においても、物語の配役を決めて謡う。
 「古典芸能というだけで、むずかしくて分からないという方が多いのですが、そんなことはありません。親子の情、男女の愛情、英雄ものに鬼退治など、実にさまざまな喜怒哀楽や幽玄を、能は謡と舞で表現しています」と語るのは、市原市謡曲サークル『翠謡会(すいようかい)』の代表木本義昭さん。
 会の発足は昭和38年。市内門前に住む角一平さんが発起人となって、観世流謡曲同好会としてスタートした。十数年前は、京葉工業地帯の会社にも謡曲クラブがあり、謡曲の愛好者も多かったが、転勤や会社クラブの廃部など、謡曲に親しむ人も減っていった。「翠謡会も、会員の減少で何度か解散の危機がありました。それでも40年以上続いたのは、やはりみんな謡うのが好きなんですね」と木本さん。現在会員数は25名。毎月第3日曜日の午後、八幡公民館で練習を行っている。
 会では、さまざまな演目の中から季節にあったものを選び、毎月5曲づつ会員に役を振り分ける。主役の『シテ』、主役と情感や行動を共にする『ツレ』、脇役の『ワキ』、シテの感情や状況を合唱で謡う『地謡』。振り当てられた役に合わせ、次の練習日までに自宅で練習してくる。「謡うことで能舞台の状況を表現していきます。子どもをさらわれた母の苦悩や、仇に対する悲壮な決意など、思いをどれだけ謡に込められるか、表現力は全員の力量あってこそ。もののあわれが理解できるまで、やればやるほど奥の深さを感じます」
 毎年春と秋発表会を行うが、昨年は創立40周年の記念発表会を市民会館小ホールで開催した。転居などで会を離れた人も招待し、盛大なものになった。現在の悩みは会員の高齢化。謡えるようになるまで、ある程度時間がかかるため、興味があってもおもしろさがわかる前にやめてしまう人が多いという。
 「もっと若いうちに謡曲に触れる機会があれば良いですね。理屈ではなく、何百年もすたれずに残っている古典の良さを肌で感じていただきたい。とにかく日本語の美しさに感動して欲しいのです。謡曲の世界には、日本人というものがすごく好きになれる魅力があります」。興味のある人は、気軽に連絡して欲しいと木本さんは話す。    (斉)

問い合わせ/木本 TEL/36・4158

木本さん

40周年記念

  



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