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NO.89

― 成東・東金食虫植物群落を守る会(成東町) ―

地域の『貴重な財産』を後世に残したい

 成東町と東金市の境界にまたがる地域に、1920年、日本で最初の国指定天然記念物となった『成東・東金食虫植物群落』がある。戦中戦後の食糧増産で耕地化され、現在の面積は指定当時の約半分ぐらいになってしまった。が、わずか1・7ヘクタールという地域に、全国で見られる食虫植物20種類のうち8種類、環境庁の植物版レッドリストで絶滅危惧、準絶滅危惧にランクされている植物18種類が自生する稀少な植物群落地だ。
 田畑が広がる中に、ポツンとログハウス調の群落地管理棟が見える。
 今回、お話をうかがったのは、この群落地を「子子孫孫の代まで残したい」とボランティア活動をしている『成東・東金食虫植物群落を守る会』の皆さん。現在、会員は20代から80代まで男女半々の32名。主婦もいれば仕事を持つ人、定年退職した人もいる。大半は地元在住だが、千葉市や四街道市などの会員も。つい最近まで会員は10数名だったが、昨年11月に、食虫植物群落の保全と研究教育に貢献したと『沼田眞賞』((財)日本自然保護協会)を受賞し、今年6月、記念講演『成東・東金食虫植物群落の自然と保護活動について』を行ったところ(於・成東町のぎくプラザ)、入会希望者が倍増した。会員が増えることは好ましい。が、あくまで国から指定を受けた特殊な植物自生地。天然記念物の保存が目的なので、これを理解した上で一緒に活動してくれる人を求めている。
 会の発足は1993年。ボランティアガイドをはじめ、セイタカアワダチソウの抜き取りやススキの掘り取り等の管理作業、夏休み子供教室、分布・植生調査など活動内容は幅広い。2000年から始まった国の保護増殖委員会に全面的に協力し、群落の未来図『ミュージアム構想』も提案した。
 管理棟内には、会員が『今日みられる植物』をコルクボードに写真で紹介している。他、しおり類も用意されているので、立ち寄ってみるのがおすすめ。群落地には木道が設けられ、会員の手による案内カードが植物の近くに掲示されている。
 会長の川辺侃(ただし)さんは「活動が負担になることのないよう、各自ができる時に、できることをやりましょう、というのが私達のやり方」と話す。
 群落地が抱える最大の難問は、湿地の乾燥化。砂質土壌で地下水位が高く保たれている食虫植物が好む湿原環境であったが、水田耕作形態の変化等で作田川の水位が低下し、乾燥化が進んでいる。ポンプ施設の設置など対策を講じてはいるが、なかなか乾燥化をくい止めることができない。乾燥化によりモウセンゴケやサギソウは極端に個体数が少なくなった。
 「逆に、在来種で乾燥に強いものが増殖し、群落地に及ぼす影響を考えると心配です。ここ数年増えたメリケンカルカヤなどのの外来種なら駆除の対象と考えられるのですが」と副会長の岩瀬さん。とはいえ、植物の変遷は短いスパンで結論を急いではいけないとも言う。
 管理棟は見学者の訪れがピークである4月から8月まで毎日、9、10月は土・日曜・祝日のみ開ける。11月中旬頃までは守る会の会員が、土・日・祝日に案内活動を行う。それ以降は、植物が芽吹く4月まで群落地は「冬眠」状態に入る。
 「人工的に管理された観光植物園感覚で、冬に来て何もないとガッカリして帰る方がいますが、ここは自然のままだから冬になれば植物は枯れ、見るべきものはなくなります」と苦笑する会員の能勢さん。でも、10月下旬から11月中旬までヤマラッキョウ、ウメバチソウ、ホソバリンドウ等を見ることができる。普通、山でなければ見られないような植物だとか。他にも、素朴で懐かしい草花とも出会えることだろう。  (内田)

問い合わせ/成東町教育委員会社会教育課
TEL/0475・80・1261
地図

ヤマラッキョウ

ウメバチソウ

タカトウダイ(紅葉)

今回、取材に協力して頂いた皆さん。
(左から)土屋さん、川辺会長、能勢さん、岩瀬副会長

  



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