NO.13

13・
東金市指定無形民俗文化財
御神的(おまと)神事の巻
 貴船神社(東金市山田)

 慶安4年(1651)以来、三百数十年にわたって伝承され、遠郷近在に聞こえた民俗信仰の行事として名高い『貴船神社の御神的神事』(通称・お歩射)が、今年も1月4日の春季大祭で、古式豊かな歩射方式(起立のまま弓を射る方式)に則って行われた。
『御神的神事』は宮司司祭の下、祭主(山田区長)や区・神社役員、年当番等が参列、多数の氏子達も見守る中、厳かに進行。式典に続いて区長主祭による『お歩射』に移った。慶安の世以来、重視されてきた年当番の受け渡し・盃の儀が七献を重ね、和気あいあいで終わった。いよいよ弓矢占いの始まり。2羽の八咫烏を描いた的に矢を放ち、その当たり具合で農作物の豊凶を占う神事。的を射抜けば、その年の豊作の証とされる。
 貴船神社は文治2年(1186)、西行法師が東国巡礼で山田村を訪れた際、奉持していた山城国・鞍馬の貴舩大明神の分霊を、村内の板東谷(墨染桜の所在地)に奉祀したのが起源。その後、文明元年(1469)に現在地に移り雨乞いや航海安全の霊験あらたかな神として農漁民の信仰を集めている。拝殿右側の『大柊』(市指定天然記念物)やいぼ取りに効く『いぼ神様』でも名高い。
「『御神的神事』は山田区の宝」とは責任役員の田上光男さん(74)。「山田区内の氏子(約250戸)が毎年、2軒ずつ交替で行う『お歩射当番』(お歩射の一切を支える奉仕者)も自慢の制度」とは神社総代の松嵜等志男さん(76)。その語り口には『お歩射』に全霊を注いできたご先祖達の息吹が、現代の神事の進行を担う奉仕者にも根付いていることへの誇りが見て取れる。
 今年のお歩射も吉兆。最初に放たれた白色の神矢は空高く上がったし、続いて的に向け射た12本のうち、半数が的を射たから豊作に恵まれる年になろう。矢を扱う役目を果たした少年の的子も、弓を引いた的子の取上爺(一時的に爺の役をする人)も、そして的の周りで待ち受け、幸運の矢を拾った人達の明るい笑顔が快いお祭りだった。(井上)



 

1
2
3
4
5
6
7
8
9
13
14
15



(C)City Life