NO.13

水揚げ日本一のイセエビ
『伊勢海美』解禁!
&鮮度が命!の漁師料理
『水なます』
(いすみ市大原町・
いすみ東部漁業協同組合)

 外房・大原といえば、漁業が盛んな町。大原漁港から10数キロ沖合にある、いすみ市とほぼ同じ広さをもつ岩礁群『器械根』付近は、黒潮と親潮がぶつかり合う良好な漁場。高級魚といわれるマダイやヒラメをはじめ、サザエやアワビ、フグ、タコ、イワシ、アジ、ホウボウ等々、多種多様な魚介類が生息している。そこで、今回は8月に解禁となる(取材は7月。6・7月は禁漁期間)イセエビ漁を目前に控えた大原の港を訪ねた。
 大原は知る人ぞ知るイセエビの水揚げ日本一。数だけでなく、その品質も「イセエビ本来の鮮やかな赤で濃厚な味」「甘みとろける日本一の旨さ」と自信を持っている。そのため、他の産地のイセエビとの差別化を図りブランド化したいと、昨年夏、大原産のイセエビの証『伊勢海美』と商標登録した。
 3年前には、大原漁港内に漁師直営の店『いさばや』(昔の言葉で魚屋)をオープンし、市価より安く新鮮なイセエビやサザエ、地魚の干物を販売し、イセエビの味噌汁や刺身、炭火焼きなども格安で食べられるスペースを用意している(営10〜17時、月曜定休※祝日の場合は翌日休)。
 いすみ東部漁協青年部の渡辺部長に、イセエビ漁の話を聞いた。「イセエビの最盛期は8月から10月頃まで。寒くなると水温が低くなり、動きが鈍くなって網にかからなくなるので漁も減る。そして4月から5月にかけて水温が上がってくると、また漁も増えるね。イセエビ漁は、午前2時半に港を出て器械根に向かう。そして前日の昼にかけておいた網をあげる。夜中に網をあげに行くのはイセエビは夜行性だから夜の方がエサを求めて動くので」。同青年部では、ヒラメやタイの稚魚を港内の生け簀で育て後に海に放す中間育成に力を入れたり、30年前から稚エビの徹底した再放流を行うなどして資源保護に努めている。
 他の漁についても話を聞こうと、港で網の手入れをしていた元吉さんに尋ねる。「マダイのエサはアナジャコ、ヒラメやホウボウは生きたイワシをエサに、どちらも延縄で獲る。他、タイやスズキも延縄漁。コチやイセエビは刺し網」と話す。延縄の仕掛けは、幹縄に暖簾のように、釣り針をつけた枝縄を何本も吊したもの。刺し網は、魚群の遊泳する水域に網を遮断するように張り、網目に刺さったところを捕獲する。
 年間通して、豊富な種類の魚が釣れる大原は遊漁船、釣り船でも有名だ。釣り船『天の清栄丸』の若船長、天野さんは、高校卒業後に父親のイワシ漁を手伝っていたが、一時期海から離れ「陸の仕事」をしていた。3年前、遊漁船に替わった家業を継いだ。先輩である渡辺部長が「真面目で一本気。頑張り屋」と言う彼は「もっとお客さんをいいポイントに連れていきたいし、釣り方も研究したい。常に勉強です。将来?船から下りる気は全くないです!」と前向きで謙虚でもある。10月頃まではイサキやマダイ、冬に向かってハナダイや根魚、年明けにはヒラメやフグ、五目(ハタ、ホウボウ、メバル、カサゴ、キントキ)、春先からイナダやワラサが釣り船の人気魚だ。
 ところで、漁師料理のひとつ、『水なます』は、今も暑い時期には漁家で好んで作られる郷土料理でもある。今回、とれたてのイサキを使い、釣り船『第二松鶴丸』船長の中村さんに作っていただいた。ウロコを取り頭を切り落とすと、プリプリの白子。イサキは産卵のため初夏に岸近くに来る。お吸い物や煮付けにもするが、産卵期の白子は絶品といわれるだけに、生のままポン酢かワサビ生姜で。三枚におろし皮をひき腹骨をすき取ったイサキをそぎ切りにする。鍋に水で味噌を溶く。あとで氷を入れるので濃いめに。具材はタマネギ(青ネギでも可)、ショウガ、青シソ、ミョウガ、できれば青トウガラシも。以上をみじん切りにして混ぜる。具材の入った鍋に大きめの氷を入れる。丼に冷えたご飯を入れ、鍋の具材と味噌汁を加えれば出来上がり。
 実に豪快。「ぶっかけごはんだよ」と渡辺さん。シンプルな料理だけに食材、魚の鮮度が命だ。何杯もおかわりしたくなる旨さで、ワサビ生姜で食べた白子もフグとはまた違った美味しさ。野趣あふれる涼味満点の夏のご馳走だった。 (内田)

問い合わせ/いすみ東部漁協内いさばや
TEL.0470-64-0131

 



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