NO.17

地元の竹を使って用品づくり
各地の農家・漁家に届ける

*ヰカ竹材(大多喜町)

 いすみ川のほとり、大多喜町三又の国道沿いに、竹製品を作る『麻生竹材』がある。「直接、農家や漁家から注文を受けて作るから」と看板は出していない。
 大多喜の竹山から切り出した孟宗竹を使い、様々なものを作ってきた。現在、2代目の麻生郁夫さんと奥様、息子さんの3人で製作している。かつては、花や野菜などを入れるかごも作っていたが、積み荷に便利なダンボールの登場で、今ではほとんど作らなくなった。 
 現在の主な商品は、『がくや』。鮮やかな緑の葉と赤い実で正月の飾りでは人気の『千両』を栽培する際に、緑の葉の色をきれいに保つよう日除け・雨除けのために竹を編んだもので覆う。これを『がくや』というが、大多喜では「編み簀(あみず)」と呼ぶそうだ。
 ちなみに、千両の名前の由来は、直射日光を苦手とするので、竹で編んだ覆いの中で育てられるため、がくや(楽屋)の中の千両役者ということからつけられたとの話だ。
 枝葉を落とした竹をノコギリで切り、竹の直径に合わせた刃をセットした割り機に入れ、片側からプレス機のようなもので押して刃に当て、1本の竹を幾つかに縦割りする。次に、節を取り2つ割りにして四角くする機械に入れる。そして、針金をセットした編み機に1本ずつ差し入れ編み上げる。2台の編み機で年間2千枚ほど作るそうだ。 
 3種類の機械を使って作る工程だが、竹を1本もしくは束にして差し入れたり、まとめたり、次の機械へと移す作業は人の手による。竹の断面にできたささくれが刺さると棘同様痛い。だから作業中は厚手のゴム手袋をはめる。
『がくや』は千両栽培で全国でも大きなシェアを占める茨城県波崎や南房総の農家からの注文が多い。また、垣根に使う人もいるとか。筍がうまく育つように「竹を整理する山そうじ」の時に出た竹を使うため、筍シーズンの3月から9月の期間は切り出さない。
「『がくや』は冬の仕事。夏は『のりひび』」という。木更津の海苔養殖をする漁師からの注文を受けて作る。竹を火で炙って水をかけ真っ直ぐにする作業だ。約4メートルほどの長さである。ほか、砂浜に立て、道路に砂が飛ぶのを防ぐ『砂防』や、大根やレタスなどの野菜の露地物用ビニールハウス用にしならせた『わり竹』なども作る。
「いま、竹ぼうきなど安い中国製の竹製品が出回っているけど、使いにくいという人が多いね。やはり自然の素材を使うなら、風土に合った地場産のものの方がいいと思うよ」と麻生さんは話す。(内田)

 



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