生まれてよかったと思う瞬間。ところで、鍋に欠かせないのがネギだが、千葉県が秋冬ネギの出荷量日本一ということをご存知だろうか。その半分を匝瑳、山武、長生の3地域のネギが占める。ところが山武地域のネギは、市場評価で匝瑳地域の光ネギや長生地域の長生ネギに一歩遅れをとっていた。そこで、「山武地域にもブランドネギを」と考え出したのが、昨年11月に東京大田市場へ初出荷された『海っ子ねぎ』だ。
きっかけは、5年前に九十九里沿岸を通過した台風21号だった。大量に海水を含んだ強風により、多くの野菜が被害を受けた中、ネギだけが被害を免れた。それだけではなく、例年より育ちがよく、甘味も増していた。そんな評判を聞きつけたJA山武郡市やさいの里営農センターと県山武農林振興センターなどが協力し、海水を散布してのネギの試験栽培が繰り返され、昨年商品化が実現したのが『海っ子ねぎ』だ。海水を撒いて育てたネギは、太くて甘くて柔らかいのが特徴。
「海水に含まれる何百種類ものミネラル成分が影響しているようです。海水をかけることで生育がよく病害虫の被害も少なく、農薬も減らすことができました。最初は減農薬でちゃんと育つのか不安はありましたが、栽培中特に大変なことはなかったです。それより、品質を落とすことなく出荷しなくてはいけない今の方が大変です」と話すのはやさいの里ネギ部会長の瀧田修さんだ。現在27名の生産者により、4月までに1箱5キロの段ボール4万ケースの出荷を目指している。成東、山武、東金のJA山武郡市直売所『緑の風』のみで販売中。スーパー等に並ぶものは東京の市場から入ってきたものだそう。もちろん取り寄せもOK。
「昨年末に大田市場内であった鍋祭りというイベントで、野菜のプロの方に『海っ子ねぎ』を食べてもらう機会があったんです。何種類ものネギの中で『海っ子ねぎ』に行列ができてしまって。一度食べてもらえれば合格点をもらえる自信はあります」と瀧田さんは胸を張る。『海っ子ねぎ』はビニールによるピロ包装がされ、衛生面、品質保持にも配慮されている。(菅家)