合鴨やアヒルなどの水禽類の孵化、飼育を専門にしている会社がある。大正5年創業の『椎名人工孵化場』で、現在4代目の椎名秀治さん(36)が代表取締役を務める。
主に食用の合鴨のヒナを出荷しているが、昨今、農薬を使わない米づくりの一つ「合鴨農法」が脚光を浴びるようになり、田んぼに放す合鴨のヒナの生産も盛んになってきた。
品種のひとつ『青首合鴨』は、性格がおとなしく、食欲旺盛でよく田んぼの草や虫を食べるので、合鴨農法には適しているといわれるが、日本では椎名人工孵化場だけが扱っているブランド種。したがって春先にヒナを卸す農家は全国に1200軒ほどで、「農家の方たちと親戚のような付き合いができるのが嬉しい」と椎名さんが語るように、10年以上の取り引きがある農家も600軒をくだらないという。
また宮内庁にも年間約3000羽の合鴨を納めている。これは『鴨場』に放すもので、実際に客に鴨を捕らえさせ、獲った鴨を食用にする接待用だという。
椎名さんは合鴨などを飼育する際、床に農家から分けてもらった藁を敷きこんでいる。使用した後の藁は肥料として農家に還元するので、有機農業を後押しし、地球に優しい農業に貢献できているという。
敷地内には繁殖と食用にする合鴨約1600羽が飼育されており、食用肉は小売もしている。また加工品としてスモークした合鴨も好評。(大谷)