NO.13

日常生活で分からないことが多い
国際結婚
家族の支え合いが何より大切

 茂原市の川島隆仁・祥子夫妻には男の子3人女の子1人と、4人の子どもがいる。4人全員が野球選手だ。
 現在は3年生なので引退したが、長男の隆壱君は一宮商業高校の野球部、次男の憲悟君は千葉経済附属高校2年生、三男の亮太君は同じ高校の1年生で共に野球部に、長女の亜衣佳さんは茂原中学校2年生で千葉市シニアというクラブチームに所属している。
 父親の隆仁さん(47)は、「特に親が野球に思い入れがあって、子ども達に勧めたわけじゃないんです。たまたま長男が地元の少年野球チームに誘われたことから、次男も三男も野球を始め、彼らの姿を見てきた娘もやりたいということで。とはいえ、野球を始めた当初は皆を早く上達させてあげたくて、毎週近所の『みなみバッティングセンター』に連れて行きました」と話す。
 朝練、放課後の練習、休日の試合、遠征試合。学生の部活動の野球といっても、強豪チームの一員ともなれば、スケジュールは過密でハードだ。そんな子どもたちを4人、10年にわたり、野球に打ち込める環境づくりをするには親の理解と愛情がなければできることではない。
 工務店に勤務する隆仁さんは、訪問看護の仕事をする妻の祥子さん(45)と時間をやりくりして、子どもたちの試合の応援に行き、試合が重なる日には別々にそれぞれの会場に駆けつける。「チームに子どもを預けた以上は、親が野球の指導をすることは許されない。親があーだこーだと言えば、子どもは混乱してしまう。だから私達は、コーチや監督が子どもに教えたことを復習させるだけ。でも、それだって親がきちんと理解していないとできない。親も勉強ですよ」と隆仁さんは苦笑する。
 長男の隆壱君は、この10年を振り返り「朝早くから皆の弁当作りや送り迎えをしてくれた親には本当に感謝してます」と言い、寮生活を始めた次男の憲悟君と亮太君も「自宅にいれば母が洗濯でも何でもやってくれたけど、寮では自分でやらなければならない。もう慣れたけど、最初は大変でした。当たり前のことのように思っていたけど、改めて親のありがたみがわかりました。今も寮費がかかるのに僕らの希望を叶えるために入れてくれてありがたいと思っています」と話す。
 今年夏の全国高校野球大会では、残念ながら初戦で沖縄の八重山高校に敗れてしまった千葉経済附属高校だが、来春開幕する全国高校野球大会にほぼ出場が決まった。すでにレギュラーとして活躍している憲悟君だが、落ち込んだこともあった。「1年生の頃、監督におまえなんかキャッチャー、クビだと怒られ、へこみました。でも、普段は厳しい母ですが『ここで辞めたら負けだよ』と温かく励ましてくれて、よし!監督を見返してやるぞと頑張れました」。長女の亜衣佳さんも「高いグローブとかも買ってくれて…」と照れくさそうに呟く。
 兄弟みな互いに名前を呼び捨てだ。でも、別に兄を軽んじているのではないのは、三男の亮太君に「どんな家族だと思う?」と尋ねた時の「悩み事が言える家族。悩んだ時、自分で何とかすることもあるけど、親や野球の経験が自分よりある兄に相談するし、これからも相談していきたい」という答えからもよく分かる。
 夫婦2人とも仕事を持ちながら、子どもたちをサポートするのは並大抵のことではないと思う。いわゆる「自分の時間」はとれないだろう。が、2人とも「子どもたちを気遣い、時間や労力を注ぐこと、そしてお金がかかることは苦ではありません。子どもたちが元気に成長する姿をみるのが幸せだから」と微笑む。更に祥子さんは「私達は青森出身で、こちらには親戚はいないんですが、子どもを通して職場やチームの皆さんなど、たくさん仲間ができました。子どもを応援し私達を支えてくれる人達にも巡り会えたし」とも話す。
 そんな両親の言葉に、長男の隆壱君は「親の支えがあったから野球に思う存分打ち込めた。これからは休みの日とか掃除など自分のできる限り手伝いたい」、次男の憲悟君は「今まで照れくさくて言えなかったけど、ありがとうと言いたい。こういう感謝の気持ちをもち、言葉にすることを教えてくれた高校の監督にも感謝しています。将来はプロになって親孝行したい」、三男の亮太君は「僕も野球で活躍して喜ばせたい」と応える。隆壱君は就職が決まり、社会人野球をするかどうかは現時点では未定だが、今後、何年かは家族一丸となって、野球ひとすじに邁進する生活が続くことだろう。(内田)

 



(C)City Life