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盲導犬、聴導犬、介助犬は、障害をもつ人たちを助けるアシスタンス・ドッグ。それぞれ飼い主の目、耳、手となり、障害を持つ人たちを補佐するパートナーとなる。
市内辰巳台に住む澤和ひかるさんは、ご主人の信二さんと聴導犬のかよと暮らしている。ひかるさんも信二さんも2、3才で聴覚を失い、ともにろうあの障害を持つ。会話はほとんど手話で行う。
ひかるさんは、実家の岡山にいたときから聴導犬を知っていた。聴導犬は玄関のチャイムやタイマーの音などを聞き分け、ユーザーに前足で触れてなったのを教える。警報器の場合は触れたあと伏せをして、危険があると知らせる。
ひかるさんが聴導犬を欲しいと思ったのは、信二さんと結婚し市原に来て、日中、社宅でひとりきりになることに不安を感じたからだ。友人も知人もいない。不意の来客や宅急便の配達があっても、玄関のチャイムは聞こえない。来客に気づいても相手が手話を知らなければコミュニケーションできない。もし何か災害が起こっても、分からないまま巻き込まれてしまう恐れ。ひかるさんは、次第に信二さんとケンカをするようになった。
信二さんが申し込んだのは、聴導犬を無料貸与する長野のNPO法人・日本聴導犬協会。聴導犬のユーザー希望者は、聴導犬との接し方を覚えるために訓練を受け、認定試験に合格すると正式に貸与される。ひかるさんは一昨年の10月にかよと対面。昨年5月には、協会で2週間の滞在訓練を受けた。訓練は厳しく、犬の信頼を得られなければ失格になることもある。「かよは、目覚ましの音もケトルの音も、スタッフには教えて私のところには来てくれない。落ち込みました。それに、エサやブラッシングなどの世話も、今まで犬を飼ったことがなかったので、一から覚えなければいけなくて辛かった」。だが、毎日の訓練によってひかるさんはかよと信頼関係を築いた。バスの乗車訓練も、約4カ月の自宅訓練も見事パスし、正式にパートナーとなることができた。
家にかよが来てから、ひかるさんが明るくなったと信二さんは言う。お風呂の水をあふれさせたり、魚を焼いているのを忘れたまま別のことをしてしまい、台所に煙を充満させることもなくなった。タイマー、警報器、ケトルなど、生活に必要な音はかよがすべて教えてくれる。信二さんが帰ると喜んで玄関に行くかよは、何かのセールスが来たときは一歩一歩ゆっくり歩き、誰が来たのか教えてくれる。ひとりでいても不安がない。信二さんにご飯ができたと呼びに行くのもかよの役目になった。
また、かよは日本初、3大航空会社に搭乗を認められた聴導犬でもある。信二さんがトライアスロンや障害者国体で活躍する選手であるため、その応援に行こうと、ひかるさんとともに試験を受けた。「かよがいるから、どこにいても安心です。夫婦の会話も、近所づきあいもよくなりました。普段のかよは、私たちふたりのケンカを止めてくれる娘です。けれど、夜中に火事が起これば必ず私たちを起こして教えてくれる、私たちの命も守っている大事な存在なんです」。
日本国内の聴導犬は20数頭。かよを育てた日本聴導犬協会は、動物福祉として捨てられた犬の中から聴導犬の候補を探し訓練する。ユーザーには相談などのアフターケアーを行い、一般の人たちにも聴導犬を理解してもらうため、各地でデモンストレーションを開く。すべて会費と寄付による運営。聴導犬を望んでいる多くの聴覚障害者のため、厚生労働省が認める社会福祉法人として活動するには資金が必要だ。市原ボランティアセンターでは募金箱を置いて協力を呼びかけている。国際アシスタンス・ドッグ協会理事でもある会長の有馬さんとともに、ひかるさんも「皆さんにも聴導犬の大切さを理解してもらって、ご協力をいただきたいと思います」と話す。(米) |