NO.16


苦しさを分かち合い、
 支え合って自分らしく行きてく

野田真由美さん

 進歩した医療技術により、生存率が高くなってきたガン。しかし、患者とその家族や、手術が成功し社会復帰した元患者たちの抱える負担は、軽くなったとはいえない。治療の副作用、再発転移の恐れや不安。多くの人が辛さを抱え、肉体的・精神的に闘っている。
 『支え合う会(アルファ)』は、平成6年に発足したガン患者や家族、医療者などで構成された交流グループだ。月1回の定例会で、会員同士が自分の体験、気持ちを語り合い、どう生死を受け止めるか真剣に前向きに考えている。また、ガンに関する悩み全般を受付ける電話相談や、講演会、勉強会などを行っている。
 『』の中心メンバーである市内在住の野田真由美さん(44)は、40才で初期段階の乳ガンと診断され右乳房の全摘手術を受けた。退院直後には父親が末期のすい臓ガンと分かり、約1年間、家族とともに闘病生活を支え、看取った経験を持つ。『』参加のきっかけとなったのは、乳がんや父の看病の体験を掲載したホームページの公開。多くの人とのネット上でつながり、その中で出会ったという。現在は、『』のほか、乳ガンのネット・メンバーと立ち上げた『集○(あつまる)会』での映画自主上映などの活動をしている。
 「ガンのイメージは、とても怖いもの。私も告知されたとき、震えるほど怖くて、再発転移の不安に泣きました。父の看病の時は、『最後まで普通に暮らして死にたい』という父のために、告知をせず、痛みをコントロールする緩和ケアを選択しました。父のためにできるだけのことをしたくて、ネットで情報を探しました。弱っていく父の姿が悲しくて、精神的にも肉体的にも辛く、ガン専門医や元患者さん、家族の人たちのメーリングリストで、自分の気持ちを書きました。多くの人からいただいた返信は、具体的な疼痛コントロールや精神的ケアなど、様々なアドバイスや励ましで私と家族を支えてくれました。その支えがなかったら、私たちはもっと孤独で苦しかったと思います」。最後は、静かに逝った父親。死への不安を持ちながらも家族に感謝し、自分で食事をとろうとし、トイレに行き、精一杯闘い、人はこうやって死ぬのか、と野田さんに教えてくれた。
 野田さんの乳ガン再発の可能性はゼロではない。完治とされるまで手術後10年かかる。今も定期的な検査は欠かせない。結果を思うと不安で眠れなくなるが、生ききった上での死を見せてくれた父親のおかげで、死への恐怖は薄れたという。「それまでをどう生きるのかが重要です。私には、同じ思いで前向きに生きる仲間がいる。私が『』や『集○会』などの活動をするのは、私が助けられたようにガンを抱えて悩んでいる人たちの役に立てればと思うから。何もしていないと不安で怖くなるので、いろいろ動いて元気にしているというのもあるけれど」
 ガン患者を支えるのは家族だが、その家族の苦悩を支える場所は少ない。家族も、生死をつきつけられた患者の思いをすべて受け止められるわけではない。その苦しさを、もっと訴えて欲しいと野田さんは言う。「ガンは自分の一部でしかない。ガンを持っていても私たちは元気で普通に生きていく。自分の気持ちを話して分かってもらう努力をすれば、受け止めてくれる人は必ずいます。そのつながりで支え合えば、もっと楽になれるし、心が元気になる」
 時にはへこんでも、ともに支え合って生きていく。野田さんの目標は、父親の分までしっかりと生きて、パワフルなお婆さんになることだそうだ。   (米)


『支え合う会・
定例会 第1(日)13時〜
電話相談
 第1・3(水)10〜16時
氣功教室
 第2・4(土)14時〜
問電話相談日のみ
千葉大学法経学部・高齢化
  社会環境情報センター
TEL043−290−3029
http://www.icntv.ne.jp/user/alpha
『野田さんのホームページ』
http://www01.u-page.so-net.ne.jp/cb3/jasp-919

野田さんの両親。
末期ガンと言われた父親は、趣味の家庭菜園とウォーキングを元気に続けていた。

  



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