思い出いっぱい、お客さまからの贈り物
JR線をはじめ関東近郊にあるほとんどの駅では、自動券売機にお金を入れてボタンを押せば、目的地までの切符を買うことができる。今や改札口も自動改札。切符を入れると改札が開き、向こう側の口から出札確認後の切符がピョンと出てくる。便利で速いけれども、なんだかさみしい気がする。
村上駅の朝は、長谷川さんとお客さんの挨拶から始まる。「おはようございます」−おはようございます。牛久までください−「はい、ありがとうございます。気をつけて行ってらっしゃい」。
朝夕の時間帯は、名前さえ分からないけれど乗客のほとんどが顔見知り。定期券を買ってくれるお客さんがいると、長谷川さんはとても嬉しいという。お客さんの名前を覚えられるからである。
JR線の乗り継ぎ切符を買うお客さんには、「自動改札にお気をつけください」と一言声をかける。小湊鉄道の駅で購入した切符では、自動改札を通り抜けることができない。知らずに自動改札の挿入口に切符を入れてしまうと、警告音と同時に改札口がバタンと閉まってしまう。誰でもそれは気分のいいものではない。「気持ちよく村上駅から列車に乗られたお客様が嫌な思いをしないように」と優しい笑顔で語ってくれた。
長谷川明子さんが村上駅に勤務するようになってから、今年で9年目を迎える。駅員室には列車の写真が入った額や、手作りのひょうたんの置き物など、お客さんからの贈り物がいっぱい。小さな子供からもらったぬいぐるみまでひとつひとつにたくさんの思い出がつまっているそうである。
一番心に残っている思い出は、以前長谷川さんが体調を崩し、1ヶ月程入院するため休暇前最後の勤務日のこと。毎日村上駅から通学している男子高校生5人組が「明日からしばらく会えないから、励ましの歌を歌うね」と言って一列に並び『いとしのエリー』を歌ってくれたそうである。「あの時は涙が止まりませんでした」という長谷川さん、これからもあたたかい笑顔で乗客の心の支えになってくださいね。