『いすみ鉄道』と接続する終着駅 上総中野駅は、五井駅から全長約39ワを走る小湊鉄道の終着駅である。小湊鉄道は当初、外房の小湊へ至る鉄道として着工されたが、清澄山の険しい岩壁につきあたり、房総半島の真ん中に位置する上総中野駅までで工事を中止せざるを得なくなった。終点近くにトンネルが多いことからも、工事の困難さがうかがえる。またこの駅は、大多喜方面へ向かう「いすみ鉄道」とつながっている。小湊鉄道からの乗り換え客は、線路をまたぐ歩道を通っていすみ鉄道のホームへ渡る。「ようこそ お城の見えるいすみ鉄道へ」という大多喜城の絵が描かれた看板が掲げられている。 以前上総中野駅には、小湊鉄道の駅舎と駅員、いすみ鉄道の駅舎と駅員が同居していた。しかし昭和63年にいすみ鉄道の駅舎と駅員は撤去され、その後小湊鉄道も駅員が常駐しなくなり、寂しい無人駅となった。今では大正末期の駅舎は建て替えられ、ログハウス風の待合室となっている。待合室には小湊鉄道・いすみ鉄道それぞれの時刻表と運賃表が貼られている。駅前は広いロータリーになっていて、大多喜方面・養老渓谷方面へ向かうバスの停留所がある。モダンな形をした丸い建物はキレイなお手洗い。駅周辺マップや大多喜町観光案内図などの大きな看板も掲げられている。駅の周辺には民家や商店、寺院、工場などが建ち並んでいるが、ホームに立つと遠くに見えるのは山と空。うぐいすの声がこだましていた。
◆第3セクター「いすみ鉄道」木更津と大原を結ぶ房総横断鉄道として計画された国鉄木原線は、小湊鉄道と同じく清澄山につき当たってしまい、終点を上総中野駅に変更した。しかし車の普及と山村の過疎化から乗客が減り、経営難のため昭和63年に国鉄木原線は廃止された。その後、鉄道をなんとか残したいと熱望していた沿線の住民たちと行政の力で、第3セクター「いすみ鉄道」として再開した。鮮やかな黄色に濃い緑色のラインの入った車両は、一見バスのようにも見える。