NO.13

  ― 限られた子どもとの
    時間を大切に ―


イラスト/山口高弘

 子ども一人ひとりに合わせた指導を心がけた補習塾を開いて、20年になります。当時、私自身も親になったばかり。わが子が成長していく中で、こうあって欲しい、こんな教育ができたらという自身の希望を塾で実践して来たつもりです。
 私が子育てをする中で一番気にかけていることは「親として子どもをどう育てたいかを明確にする」でした。それは、人に迷惑をかけないとか、自分でやれることは自分でやるなど、極々当たり前のことばかりでした。でも、その当たり前のことが出来ない子が、いま大変増えています。これらは、経験や会話の中で自然に身につくものであり、無理矢理押しつけても出来ることではありません。教育とは教えてあげることで、強制的にやらせることではないのですから。
 勉強がなかなか進まない子に、ガンガン言っても逆効果です。間違えた事を指摘するのではなく、なぜ間違えたのか教えてあげると、子どもは堂々と間違えるようになります。そのコミュニケーションが大事なのです。子どもが幼い頃の「どうして、なぜ」の質問に、私は子どもの方が嫌になるほど丁寧に答えるようにしていました。成長するうちに、子どもの知らない事、分からない事は徐々に減ってきます。親として、このような時間が持てる時期は限られています。この時期にしか、親が子どもの土台をつくってあげる時はないのです。これから先は、親から教え与えられたもので子ども自身が表現し始めるのです。
 中学生になると、学年何番とか数字の評価が出てきます。ここで大事なのは、だれが何番かではなく、子ども自身がどれだけ頑張ったか、そして頑張ったことに本人がどれだけ満足できるかです。成績の善し悪し、上手い下手、どこでも子ども達はランク付けされます。自分が全体のどの位置にあるかを知ることは必要ですが、比較や競争ではなく、その子自身の向上心を大切にしてあげて欲しいのです。同じ評価でも、それが喜びになるか、悲しみになるか、親の見方ひとつで全く違う結果となってしまいます。
 分かっていても現実となるとなかなか出来ないのが本音ですが、子どもを変えたいと思ったら、親が変わらなければ子どもは変わりません。中学生くらいになると、子どもは親をシビアに見て試します。この時のコミュニケーションが上手くいかないと、親子の立場は逆転してしまいます。親として、しっかり子どもと向き合いましょう。そんな時間はないと言い訳をする前に、限られたその時その時を大切にすれば、必ず子どもに伝わるはずです。そして、それは親自身のためでもあるのです。

【山口春彦さん】
「すばる塾」塾長(不登校で学力の遅れから学校に復帰できない子も受け入れる)
TEL.0436-62-5809

【山口 高弘(やまぐち たかひろ)さん】
・1981年市原市生22歳 惣社在住。
・慶應義塾大学法学部法律学科在学中。
・小学4年秋から1年半、千葉日報紙上で毎週、父の随筆のイラストを担当。後、これをまとめた「お父さんの房総花だより」を出版。
・1997年3月からシティライフ紙上にイラストの連載開始。
・2000年、菜の花のイラストが堂本千葉県知事のFAXシートに採用される。


すばる塾

山口 高弘(やまぐち たかひろ)さん