NO.6

 ― 子どもと本との出会いを創る ―

イラスト/山口高弘

 これまで40年間、私は親子読書に関わってきましたが、今の時代ほど子どもたちに読書を薦める運動が社会的に高まったことはありません。子どもの読書離れが言われ始めた80年代、学級崩壊、いじめ、暴力などが社会問題となりました。キレる子には、相手の立場になって考え、共感することが希薄であるという共通点がありました。語り合うことの大切さが、見直されるきっかけになりました。
 子どもが大きくなるのに、何が大切なのでしょうか。目に見えて身体が成長することと同時に、自分で考え判断することができるようになる。おもしろいことが、どんどん見つけられるようになる。他の人へ思いやりが持てるようになる等、生活への意欲や関心を持つ内面的な成長が大切です。人は言葉を通して考え、意志を伝え合い、結びつきをつくっていきます。子どもたちに読書を通して、いかに豊かに言葉を伝えられるかは、出発点となる家庭の役割が大きいのです。
 ただ、大人が本をお仕着せで読んでやっても、子どもは楽しむまでに至らない場合があります。親子の関わりの中で、家庭で本を楽しみ合う土台が必要です。例えば、ボタンを掛ける度にボタン掛けの数え歌をうたうとか、絵本の主人公が普段の会話に登場してくるとか、絵本が何気ない暮らしの中に自然にとけ込む雰囲気づくりが大事になってきます。子どもの好きな本はそれぞれで違います。読み聞かせるのと、自分で読む本も違います。本選びは永遠のテーマです。大人が子どもから学ぶセンスを持つことも大事でしょう。
 子どもはいつも不思議を待ち望んでいます。子どもは現実と空想を行き来するハシゴを持っていると思うのです。いずれ大きくなれば、真実は自然と学びます。子どもが不思議を信じ、受け入れられるかけがえのない時期に、そのハシゴを大事にして絵本の世界と出会える機会を与えてあげていただきたいのです。本から子ども自身の想像力を育てていくところに、読書の価値、役割があるのです。(文・広瀬恒子)

【広瀬恒子さん(73)】
親子読書・地域文庫全国連絡会代表 
日本子どもの本研究会事務局長 なかよし文庫、せたがや子どもと本ネットワーク代表  読書運動とともに実践の場から子どもの本を見つめ、研究と普及に尽力 著書多数
※南総公民館主催子育て支援事業「子育てほっとステーション」講演会より
市原市文庫・おはなし会連絡協議会(青木)
TEL.0436-61−3121

【山口 高弘(やまぐち たかひろ)さん】
・1981年市原市生22歳 惣社在住。
・慶應義塾大学法学部法律学科在学中。
・小学4年秋から1年半、千葉日報紙上で毎週、父の随筆のイラストを担当。後、これをまとめた「お父さんの房総花だより」を出版。
・1997年3月からシティライフ紙上にイラストの連載開始。
・2000年、菜の花のイラストが堂本千葉県知事のFAXシートに採用される。


広瀬恒子さん

山口 高弘(やまぐち たかひろ)さん