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 人と動物との暮らしの中で
命の尊さを考える
 
 講師・井上こみちさん

 近年、ますます深刻化する動物問題。去年の春にNHKで放送されたドラマ『ディロン〜運命の犬』の原作者、井上こみちさんによる講演会『運命の犬 ディロンと出会って』が12月に行われ、会場である東金公民館には100名を越える住民らが集まった。今回、井上さんは動物問題の現状と、セラピー犬・ディロンについて話をした。

☆ツキノワグマ出没による被害

 今年になって何度もニュースを騒がせているツキノワグマ。人里に降りてきたクマのほとんどが、人間に危害を加え、農作物の畑を荒らす害獣として処分されました。原因は、台風による広葉樹(ドングリの木など)の被害や、むやみな開発などが考えられます。人間にも責任があるのです。それを害獣という理由で殺してしまうのはあまりにも残酷。以前訪れた島根県のある町では保護したクマを生きた教材として子ども達に見せ、山から降りてきたわけを考えさせるという目的で保護施設を作ったのです。動物の命を守り、その尊さについて考え直す必要がありますね。

☆法律改正について
 2006年の6月に施行された動物愛護管理法の中で、ペットを飼っている方が守らなければならないのが、一度手に入れたら生涯飼育するという『飼い主責任』。本来こんなことは当たり前でなくてはいけません。しかし、人間の勝手な言い訳で捨てられ、処分される犬の数は年々増しています。そしてむやみに繁殖させてはいけないという『ペットショップやブリーダーへの規制』です。特に大型犬は健康な親からでも、10頭中2頭は多少障害のある子が生まれてきます。だからといって処分してしまっていいものか。その子に合った生活をさせてやれば、十分に寿命を全うできます。

☆ディロンとの出会いを通して
 家庭の事情で子どもの頃から孤独だった太田恵里さんの人生を明るい方へ導いたのがディロンです。ディロンは普通の犬とはちょっと違う能力をもっているようで、ご病気の方や精神的に弱っている方が近くにいると、何かを感じてそっと側に寄り添います。この力を活かそうと、太田さんとディロンは日本動物病院福祉協会のセラピー活動認定試験を受け、合格。様々な場所でセラピー活動を行ってきました。現在は14歳で、白内障になってしまい、活動は息子・オスカーが引き継いでいます。目が見えないディロンの他にもたくさんの犬との生活を送っている太田さん。大変ですかと尋ねると、「犬の生活パターンを理解すれば決して大変ではありません」と答えてくれました。多くの人々に元気を与えたディロンのように、どんな動物も何かしら意味があってこの世に生まれてきたのだと思います。ペットが寿命を終えた時、「お前と暮らせて幸せだった、ありがとう」と言えるようなあたたかい心を持つ飼い主が増えることを強く願っています。
 聴講していた人に話を聞くと、「人間中心の世の中になってしまっている事を改めて感じた。これをきっかけに、自分の家で飼っている犬や猫が何を望んでいるのかをもっと真剣に考えてあげようと思う」という感想が多かった。井上さんは今後も、心あたたまる人と動物との話を書き続けるとのこと。(斉藤)

●講師プロフィール
 人と動物のふれあいをテーマに、ノンフィクションやドキュメンタリー、児童書など、著書は50冊を越える。

 

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