NO.10

世界中のトマトを集め、
町全体をトマト博物館にしたい!

長生郡一宮町
御園生【みそのう】
幹央【みきお】さん(50歳)

 温暖な一宮町は、年間通じて野菜や果物の一大産地として有名である。中でもトマトは、大正13年に栽培が始められ80年近い歴史をもつ。千葉県は全国で2番目のトマト生産量で、一宮町を含む長生地域が県下一を誇る。 「だからトマトの町!ここにしかないという独自性を打ち出してトマトで町を元気にしたい」と、話す御園生幹央さんは国内外を飛び回る観光マンの仕事を30年続けたが、5年前に父親の急逝で一宮の実家に戻り農業を継いだ。 農業は未経験だったが、ハーブとトマト栽培を始めた。旅行添乗員の仕事をしていた時、各国の旅先で見たり食べたりした珍しいトマトを思い出したのだ。同時に各地の市場を案内してあげた時、お客さんが見せた楽しそうな笑顔も。ひとは珍しいものに心奪われる。どうせやるなら、皆が作っていない変わったトマトを作ろう。しかも、また食べたくなる旨いトマトを。 そして、いずれは世界各地のトマトを集め町まるごと『トマト博物館』にして、トマトの町・一宮を大々的にPRしたいと構想を練った。 それは、様々なトマトや加工品が並ぶトマトショップ、世界中のトマト料理が食べられるトマト専門レストラン、世界中の品種を集めたトマト博物館、栽培法や新品種開発などを研究するトマトアカデミーを造ること。 「町に戻ってきた時、このことを皆に話したけれど、『夢を語っても食っていけない』と言われた。その時は分からなかったが、今はその言葉の意味が理解できる。やっていくらにならなきゃダメなんだということが。でも、夢を持たなきゃ何もできない。夢があるから張り合いがあり仕事も楽しい。だったら、自分ができることから始め、ある程度その成果を証明できれば、理解者や協力者がでてくるんじゃないかと思った」 そこで、こつこつと世界中のトマトの種を集め栽培に挑戦する一方、町内の商店に話を持ちかけトマトを使った食品や料理を作り販売してもらった。 「町が元気になるには農家だけでなく、商工会に入っている人達の技術を生かすことも必要。ひとにぎりの人間だけがオイシイ思いをしてもダメ。皆のやる気を高めるには、皆が良い結果を得られないと。それぞれが持つ技術を生かし合えれば町の活性化につながる。商売としてやるなら、売ることにかけては商店はプロ。生産は農家、販売は商店と協力し合えばいいと思う。調べてみたら、トマトは世界で一番多く食べられている野菜だと分かった。日本では生食がメインだが、海外ではいろいろな料理や加工品がある。トマトの少ない時期も加工品があれば、トマトの町としてつなげられる」 すでに3年前、町内の喫茶店でトマトシャーベットを試作してもらい話題となった。今は、玉前神社近くの和菓子店『角八本店』でトマト羊羹を製造販売中。さっぱりしたトマト風味の羊羹は、観光客が土産として又は地元の人が贈答用にと買い求めていく。  また、海岸通りのレストラン『シーガル』のイタリアンにも食材として使われ人気メニューとなっている。どちらの店も御園生さんの情熱に打たれ、やってみようと思ったそうだ。今後の商品開発では、トマト豆腐とトマト麺を考え関係者に打診中だ。更にトマト酒も。「他の地域のように醸造を県外に頼むのではなく、町内の醸造元で」と、あくまで地元の技術イコールひとを生かすことにこだわる。 海外の変わりトマトを栽培し博物館を造り、町おこしにつなげたいという御園生さんにマスコミからの取材も増え、大手食品メーカーから取り引きをしたいといわれたが、「小規模のトマト栽培で1本1本手間暇かけて育てているから生産量が少なく、小売りだけ」で、町内の40軒ほどのお客さんや全国に散らばるファンに届けると、卸すほどの量はないと断った。 『トマト&ハーブ マイケルファーム』とラベルの貼られた袋には、国内外の色も形も味も様々なミックストマトと、トマト料理に相性の良いハーブが入っている。地域に同姓が多いので、「僕のカラオケのマイク名」のマイケルを農園名にした。ラベルを指さし、「一宮町3大特産のトマトの赤、メロンの緑、梨の白を使ったイタリアンカラー。トマトの最盛期が終わるとメロン、そして梨。どれも町を挙げてプッシュしたい『おいしいトリオ』」と言う。 200軒以上あるトマト農家が、1種類ずつ違うトマトを作ったら200種類以上のトマトができる。更に一般の人に鉢植え栽培で別の種類を作ってもらったら、もっとその数は増える。 博物館はハウスを借り、これらのトマトを1カ所に集めれば見やすいし、新たな設備投資の必要もない。アカデミーでは千葉大農学部に研究依頼できないかどうか。夢で終わらせたくない。御園生さんは夢の実現に向けて、具体的な案を追求し、皆に呼びかけていくつもりだ。 (内田)

問 御園生さんTEL090・8946・5505 TEL0475・43・0722

「旨いトマトは甘みと酸味のバランスが良くコクがある」
と御園生さん。

  

 



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