南いちはら牛久商店街の西、直径120センチの花時計が完成したのは今年の4月。牛久で展開中の『花いっぱい大作戦』のシンボル的存在となった。5月中旬には、11人のフラワーボランティアによって、パンジーからペチュニアへ初めてのお色直しが行われた。装いも新になった花時計に、買い物帰りの人の足も止まる。 「牛久のまちを花で飾り、訪れる人を優しく迎えたい」牛久青年部発行の地域情報紙『伝心柱』編集長の原地利忠(43)さんが、紙面で協力者を募ったのは昨年の6月だった。当初、呼びかけに応じたのは花好きの女性2人。地元にある県立園芸高校の協力も得られ、藤土教諭の指導で生徒とボランティアの共同作業は、種まきから始まった。 「活動は、市原市が募集した『まちづくりアイデア』に応募したことがきっかけでした。選考には漏れてしまいましたが、補助金がなくてもアイデア次第で実現できることが分かったので、実行に移しました」と原地さん。白いプランターに土を入れ、自分たちで育てた花の苗を植え込んだ。オリジナルのステッカーを作って、それぞれのプランターに貼った。「商店街はじめ、一般家庭を対象にひとつ500円で買っていただくよう、お願いしました」。
1回目は338個。続いて約400個。合わせて700を越える花いっぱいのプランターを仕立てた。1万鉢にも及んだ苗のポット植え作業には、地元婦人会や南総さつき盆栽会が協力。青年部有志が、注文を取ってトラックにプランターを積んで配達した。数週間後、商店が並ぶメインストリートをはじめ、まちは花で彩られた。原地さんの小さな呼びかけは、ひとり、ふたりと、参加者を増やし、広がった。現在、フラワーボランティアは11名。近隣の新興住宅地から参加する人も多く、作業を通じて仲間意識も生まれた。お互い花好き、活動は情報交換の場所ともなっている。「活動日以外でも、つい気になって花殻が目についたら摘んでしまうんです」と、作業しながらも笑いが絶えない。
種まきから苗の移植までをフラワーボランティアと共に活動し、管理してきた園芸高校の生徒たちの中には、牛久駅を利用して通学する子も多い。「地域に開かれた学校を目指す高校側にとっても良い機会をいただきました。通学途中、生徒も気になるのか『先生、あの花も終わりそうだよ』と教えてくれます。『今度はこんな花を』と、子どもたちから提案をしてくる日も近いのではないでしょうか」と藤土教諭。フラワーボランティアも「子どもたちとの交流は、私たちも楽しみ。ここへ足を運ぶようになって苗や野菜、季節の果実を購入する楽しみも増えました」という。 「今では住民のみなさんが、空になったプランターに自分で花を植えていただけるようになっています。花を配るのが、活動の目的ではありませんでした。このような自主的な参加が、何よりうれしい」と、原地さんは活動状況を『伝心柱』で伝え続けた。花時計は『伝心柱』発刊100号を記念するモニュメントとして企画された。広告費より経費が上回る赤字続きだった『伝心柱』が、今年初めて黒字となった。これも地域をつなぐ媒体として発行し続けて来た成果と、花時計の制作費に充てた。制作にあたっては、竹内鉄鋼所をはじめ、地元事業所の協力のおかげだと話す。花時計は、皆がアイデアを出し合って大型換気扇のカバーを再利用した苦心の作だ。 「住民のみなさんの意識がなければ、何もできません。人と人、心と心をつなぐことがまちづくりだと思うから、わざわざ、手間も時間もかかるこんな形で呼びかけてみました」。現在、第2の花時計設置も検討中。考えるだけでワクワクするようなアイデアが、まだまだたくさんあるという。(国)