NO.15

黒潮のぶつかる勝浦の海。
 停滞しがちな漁業の町にダイビングで活気を!

-勝浦ダイビングリゾート-

 カツオ漁で知られる勝浦市。とはいえ、市の主な産業である漁業は後継者不足と高齢化、漁獲高の減少という問題を抱えている。
 一方、市内にある行川アイランドは廃園となり、海中公園の来訪者数はピーク時に比べ激減した。観光客の集中する夏の海水浴シーズンも、最近は日帰りでコンビニ利用客が大半。
 そこで、将来を考え海を舞台に、新しい観光事業を展開し、現状打破できないかと考えたのが勝浦の漁業協同組合。2001年10月、新勝浦市漁協に『ダイバー事業』部門を新設し、市内鵜原の海岸にダイビング施設『勝浦ダイビングリゾート』を造った。
 現在、千葉県のダイビングスポットは館山に集中しており、いずれも個人が経営する。が、『勝浦ダイビングリゾート』の経営母体は漁協。実際にマネージメントを全面まかされているのは、八千代市のダイビングショップ『ホワイトチップ』(嵐芳隆代表)。
 漁協からの依頼を受けて勝浦の海底調査をして、リアス式海岸の海ゆえのダイナミックな海中景観と大型回遊魚の群れに「魅力あるポイントだ!」と思ったと、嵐さん。
 組合長の外記栄太郎さんは「餅は餅屋、と言いますが、レジャーダイビングのノウハウのない漁協がうまく経営できるわけがない。だから、ダイビングショップのオーナーに業務依頼しました」と話す。
 ダイビングリゾートの提案から決定まで、わずか半年。が、それは組合員が皆でダイビング先進地である伊豆に視察に行ったことが大きい。外記組合長は「行かなかったら、試行錯誤していて実現までもっと時間がかかっただろう」と言う。当初は説明会を開いても「貝の密漁につながる」と反対意見が出た。ところが、「百聞は一見にしかず」と出かけた伊豆視察で現地事情を知ると、一般のレジャーダイバーは密漁などせず、逆にプレジャーボートで海に出る密漁ダイバーをダイビングボートが出ていることで抑止できると分かった。そこで、ダイバーイコール密漁という誤解は解けた。
 漁場の一部をダイビングポイントに開放し陸上施設の提供等の協力をした鵜原地区にリゾートは完成。施設はすでにあった建物を整備しての再利用。新たに造ったのは、トイレとシャワーだけ。
 現在、ダイビングポイントは5カ所。ビーチを含め6カ所。これに加え、荒天の時に使うプールもある。
 リゾート支配人となった嵐さんは、「人が大勢入った他のダイビングポイントでは味わえない、手つかずの自然が残された極上の海を体験してほしい」と話す。ポイントでは、大型回遊魚の他、南方系の魚や危険ではない各種サメが見られる。ウミガメを見かけることも。
 リゾートのスタッフ4人のうち、3人は勝浦に移り住んだ。ダイバーで混み合う夏は、勝浦に帰省したダイビング経験者の若者をアルバイトで雇う。ダイビングボートとして漁船を提供し操縦するのは鵜原の漁師達。リゾート内にレストラン設備はない。地元の弁当業者を利用する。泊まり客には組合員の経営する民宿を紹介する。
 嵐さんは「なるべく地元にお金が落ちるようにしたい」と言いつつも「宿の紹介はするが、その中から選ぶのはお客さん。自由競争にした方が活性化して結果的に町は盛り上がる。ダイビングは年間通してできるから、夏以外の宿泊客も見込める」と将来を見据える。
 リゾート利用者の評判は上々だが、「自然条件や景気に大きく左右される」ダイビング。昨年の利用者は3500人。年間目標は5000人。
 東京、神奈川、茨城等の関東一円から来るダイバーがメイン。「もっと集客を増やすには今以上に遠方からのダイバーも取り込みたい。それには、まずは存在を知ってもらわないと。PRに力を注ぎたい」と嵐さん。
 今後の課題は、漁の休業日。
 現在、毎月2回、第1・3土曜日と年末年始にダイビングボートは出ない。漁の休業日だからだ。「週末や冬休みという稼ぎ時にダイバーを受け入れられないのは残念だと思う。だけど、20年来続いた漁村の定休日は習慣となり、地域の人達は休みに合わせていろいろな行事を予定している。それをダイビング事業のためだけに止めるとは言えない」と組合長も苦渋の面持ち。ただ、遊漁船の利用客からの要望も強いため、今後の課題としたいと言う。
「ダイビング事業は漁師との共存が第一」という漁協。県内では初めての漁協によるダイビング事業。他地域の漁協からも注目を浴びている。 (内田)

問 勝浦ダイビングリゾート
TEL0470・76・0854


リゾートのスタッフと嵐代表(右)


新勝浦市漁協の外記組合長


アフターダイブは
勝浦の新鮮魚介で
バーベキュー!

  

 



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