映画『ウォーターボーイズ』、『うなぎ』、『シャル ウィ ダンス』。
テレビドラマ『ビーチボーイズ』、『ホテル』、『教習所物語』。
さて、これらの作品に共通する点は何か?答えは、ロケ地が千葉県であったこと。
映画やテレビドラマ、CM、プロモーションビデオ、ポスター等の撮影場所となった土地が話題となり、知名度アップに、観光スポットにとなる例は多い。また、ロケ隊が現地で落とす宿泊費等などの経済効果や地元民と映画関係者との交流、加えて「自分の町に誇りを持つ」意識の高まり等が期待できる。
これに目をとめて「まちおこし」につなげたいと、現在、各地で映像関係者に向けて「我が町」PR合戦を繰り広げている。2001年には『全国フィルムコミッション連絡協議会』が設立され、たくさんのFCが結成された。
フィルムコミッション(略してFC)とは、映像制作を誘致し支援活動をする団体。映画やテレビ番組、CM等の撮影の誘致と支援をする。だが、その大半は行政が主体で、民間のFCは伊豆に事例があるだけだ。千葉県には昨年11月に県が設立した『千葉県FC』がある。
そんななか、今年1月に長生村と茂原市に住む民間人である3人が『九十九里FC』を立ち上げた。佐藤憲さんロは自動車関連の輸入代行業、飯高洋樹さん竄ヘホームページのデザイン、小林ひろ美さんリは楽譜を書く仕事をしている。皆、自営業。
きっかけは、昨年、商工会で『まちづくり』について有志が集まったこと。NPOを含めた地域活性事業について意見を出し合った。その後、現在のメンバー共通専門分野であるデザイン、ウェブ、デジタル技術を生かし、「まちづくりや映像文化の振興に貢献する」ことを目的に会を結成した。
「千葉県FCには、この半年ほどで大小500件ほどの依頼があったといいます。でも、現在のFCは市町村観光課の業務の延長線上にあるケースが多く、要求に対応しきれていない。まだ日本のFCが動き始めたばかりで試行錯誤している段階なことと、専門の人材を育てることが難しいためだと思います」と佐藤さんらメンバーは話す。
更に、行政では各市町村のあげる情報を並べるだけで、依頼主が欲しい情報が少ない。
「広報に載っているような観光スポットや千葉らしい景色より、個性的であったり珍しい建物や景色を求める依頼が多い。また、九州のビーチという設定で房総のある海岸が使えたら、ロケの予算も費用も少なくて済み、依頼主も助かる。千葉らしさを売り込むより、千葉にある様々な風景をウリにした方がよいと思う。そんな情報を集めていきたい」
5月に『九十九里FC』のホームページをつくり、活動内容を広報すると同時に、ロケ地の情報提供や活動に賛同して参加してくれる映像に興味のある人、地域振興に協力したい人を個人・法人問わず募集している。
大学のメディア文化学科の教授を2人アドバイザーとして協力してもらうことになった。
ホームページにはロケーション画像とキャプションを入力できる機能を持たせ、ライブラリー充実に努める。また、登録制度を導入し、エキストラや建造物、車、ペットの登録も受け付ける。ロケ地の紹介だけでなく、ひとや動物などもトータルでコーディネートをしていきたいと考えている。
データ整理や組織づくりが進んだら、映像関係会社にPRを働きかけたいという。
「FCは地域を知ってもらうためプロモーションする組織。映像関係の情報を求めている所と地元とを結びつけるパイプ役です。あくまでもベースになっているのは地域おこしでFCはその手段です。私達は、これまでの声がかかるのを待つ姿勢ではなく、こちらから積極的に映像関係者へ売り込み、ロケ地の誘致をしていくつもりです。ロケ地が決まったら、撮影までのサポートを。たとえば、宿泊施設やロケ弁、車の手配。現場警備員など人材派遣の紹介や撮影に関する許可・届出手続きを請け負う。他にも地域への広報活動なども行います」
年内にはNPO法人格を取得する予定。
『九十九里FC』が新しい「映像文化」発信基地となるか、長い目でみていきたいと思う。(内田)