ペットブームが続き、多くの動物たちが家族の一員として愛されている。その反面、動物収容施設のガス室で窒息死させられる犬や猫は全国で年間約80万頭。安易に捨てたり保健所に持ち込んだりする飼い主が後を絶たない。市内で動物愛護団体AFES(アフェス)を主宰する谷山さんは、「千葉県は殺処分数ワースト1位ですが、都心から車で捨てに来る人も多いですね。保護ボランティアの活動家が『動物愛護の活動は、水道の蛇口を開けっ放しにし、雑巾でこぼれた水を拭いているようだ』と言いました。モラルの低さは社会的な問題です」と話す。
谷山さんが本格的に活動を始めたのは、阪神大震災のとき。ペット緊急シェルターのボランティアに参加し、そこが閉鎖された半年後、英国女性が個人運営する阪神地域シェルターのスタッフとなった。トレーナーとして動物の扱い方を教わり、愛玩動物飼養管理士の資格を取得、人間不信で危険な犬3匹を世話した。4年後、東京へ移り啓蒙活動に専念するが、シェルターから「あなたの世話していた犬のミッキーが誰にも慣れず、トレーナーにケガをさせた。安楽死させる」と連絡が入った。神戸でともにボランティアだった獣医師が市原市内で周囲にあまり人家のない借家を紹介してくれ、谷山さんはミッキーを連れて引っ越した。
東京から引き続き活動しているAFESは、関東中心に会員300名、会報誌購読のみの会員400名が登録。会員の交流を進め、皆の協力で里親探しなどをする。緊急時に限って谷山さんと市内中心のボランティア約10名が預かりや里親探しを行う。保護活動グループのため、動物たちの世話に不可欠な古着や古布を集めたり、運営資金のためのバザーに出す品を提供する。さらに谷山さんは、一般からのペットに関する相談を受けアドバイスを行う。犬の無駄吠えをなくすなどしつけの仕方、里親探しなどが主だ。そのときは、問題の再発防止のため、飼い主とじっくり話し合うことに努めている。「無駄吠えなどは現場を見に行って原因を分析し、里親探しは方法を教えて実践してもらいます。私たちの活動は、人間社会にいる犬猫を不幸にしないため、市民の皆さんが何をすべきか伝えること。不妊・去勢手術は自然ではないと言う人には、保健所で殺されるなら生ませない方が絶対に良いはずと話します」。この数年、東京都などで実施されている『地域ネコ』運動も、ここに由来する。住宅街でで汚すと問題になっている野良猫を、地域の理解を得てボランティアが世話をし、避妊・去勢手術で数を増やさないようにする。市原にも野良猫は多いが、住宅街の近くに山林があり、逃げ場がある。市内で地域ネコ活動がないのは、都市部に比べ被害が少ないためでは、と谷山さんは言う。
「動物たちは人間社会の中で必死に生きているだけ。街では人間関係の悪化に巻きこまれ、ペットが悪者にされて被害を受けることもあります。まずは、周囲の理解を得ること、そして、協力し合う友人を作ること。私も相談を受けたことがきっかけで、友人や協力者を得ています。できることから始めればいいですし、数人集まれば保護活動もできます。少しずつでも人間関係を大切にし、動物を大切にできる人を増やして、ネットワークを広げること。10年、20年のスパンで達成したい。私のライフワークです」。相談はFAXとメールで随時受付けている。(米)