空巣に車上狙い。女性や高齢者らを狙うひったくり。その手口は巧妙化し、発生件数は増えるばかり。どの街も、防犯対策に悩む。多発する犯罪に、警察では地域住民と一体となった活動で、犯罪をノックアウトしようと呼びかける。
「町内回覧でもお知らせしていますが、最近空巣被害が多発しています。11日は1丁目と2丁目で。15日は4丁目、18、22日も入られています。夕方の1時間、町内を回ってみました。暗くなっても電気の点いていない家が結構ありました。被害に遭われた方は、モノを盗られたより入られたショックが大きいと話されています。物音がしたら覗いてみるとか、お隣同士の連携も大事です!あいさつするのも効果があるそうです」。これは市内泉台『いちはら緑園都市町会』の広報を担当する後藤茂男さん(51)が、ホームページの掲示板で住民に呼びかけたもの。もちろん、悔しさと悲嘆の声を綴った被害者からの書き込みもある。
6年前、泉台では頻発する空巣に住民がパトロール隊を結成し、警察との連携プレーで見事犯人逮捕に至った経緯がある。「ここ2〜3年の増え方は当時とはくらべものになりません。多い時は2週間のうちに20件もの空巣が発生しました。プライベートな情報をどこまで公開するか難しいところですが、被害宅からの連絡や警察の協力で、発生日と丁名を出来るだけ早く町内に流すようにしています」と話すのは、町会交通防犯部で副会長の永澤利夫さん。
「この状況を黙って見ているわけにはいかない。自分たちの街は自分たちで守る!」。犯罪件数が増える年末年始を控えた今年10月、町会役員が立ち上がった。「犯人が一番気になるのは人の目」目立つようにと、40着揃えた蛍光色のスタッフジャンパーは町会のロゴ入り。データ集計の結果、空巣の発生する最も多い時間帯は午後4時〜6時だった。1チーム4〜5名、6〜7チームで町内を同時にパトロールする。「一目でパトロールだと分かることがポイントです。複数人数と目立つジャンパーは、その意味でとても効果的です。住民のみなさんも『ご苦労様です』と声をかけてくれるし、ドロボーに対しても抑止力になると思います」と、松村茂町会長(52)は防災用トランシーバとパトロールライト片手に、団地内をまわる。住民とあいさつを交わしながら、ゴミを拾い、電柱の貼り紙もはがしていく。
分譲が始まって15年、現在、泉台には1000世帯が暮らす。全く知らない同士が隣人になった街の地域コミュニティも徐々に深まって来た。「様々な価値観が存在し、また多様化しています。都心への通勤者も多く、共に暮らしているという意識が薄いのが泉台の現状です。だからこそ、自主的な活動を立ち上げなければ始まらないと考えました」。スタッフジャンパーは、有秋地区の敬老会や体育祭にも活用して連帯感を高めるのに役立っている。無理をしないことが継続の秘訣と、役員中心からジョギングや犬の散歩ついでに気軽に参加できるパトロールを呼びかけたところ、住民と一体となったパトロールが実現できたという。「このスタッフジャンパーを着ることで、ご近所意識を高めていただき、自分の街を歩くことで新たな発見もしていただきたいと思っています」と話す永澤さんは、町内で遊ぶ若者たちに声をかけ、同じ目線で話し合うこともあるという。
パトロール開始以来、あれほど頻発していた空巣は1件も発生していない。住民の110番通報で、車上荒らしが捕まった事も報告された。「私たち役員も、活動を通して問題点が見えてきたと思っています。まずは街の現状を知ることです」。町会では回覧や、ホームページで活動状況を知らせ、住民からの意見を募っている。 (国)