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自分たちの地域を知り、
自分たちの手で理想の地域に育てよう

『鴨川・未来たち学校』加藤登紀子さん

 加藤登紀子さん(60)は、歌手活動のかたわら環境問題に積極的に取り組んでいることで知られる。2000年秋に国際環境計画(UNEP)の親善大使に任命され世界各地を歩き、ヨハネスブルグでの地球環境サミットにも参加。『鴨川自然王国』の代表として鴨川に住まいを構え、この地の環境を徹底的に守るべく昨年『鴨川・未来たち学校』をスタートさせ、「鴨川だけでなく、房総、千葉県、関東とネットワークを広げていきたい」と意欲を見せる。
 ちなみに、『鴨川自然王国』は、一昨年急逝した夫・藤本敏夫さんが地元農家と86年に設立した農業組合法人、いわゆる多目的農場。「21世紀は環境と農の時代」と考え、美しい里山の自然を背景に『食』と『農』を中心とする自然共生型の「楽しい生活」を実践しようとした藤本さんの遺志は、加藤さんや友人の田中正治事務局長にひきつがれた。そして今年からは、『鴨川・未来たち学校』の課外活動の舞台となる。

◆鴨川に住民票を移したそうですね。
 「自分の町として大事にしていこう!という決意で、昨年末に『鴨川市民』になりました。鴨川って、本当におもしろいと思うんです。新しい可能性に満ちているから。漁業あり、農業あり、観光ありの自然と一体になった町。自分たちの手でこの素晴らしい環境を守り、理想の地域に育てていかなければならないと。鴨川には、日本の未来を描くための大切な要素があると思っています」

◆『鴨川・未来たち学校』のネーミングはそうした考えに基づいたものですね。ところでスタートの直接のきっかけは。
 「藤本の四十九日の法要の時、鴨川の環境を守る会ネットワークの方から加茂川上流に管理型ゴミ処理場ができると聞かされまして…。管理型というのは、管理しなければ環境に危険なゴミを意味しますが、今の法律では処分場に課せられる制限は非常に甘く、たった2ミリの厚さのシートの上に捨てられる予定だというのです。この平和な鴨川に目に見えない悪魔が忍び寄っていると衝撃を受けました。そこで反対運動を始め、地元の人たちとの交流がはじまり、そのなかで生まれた企画。『鴨川・未来たち学校』で未来を見る、という思いで命名しました」

◆具体的にどんな内容?
 「学校と名がつく通り、専門の講師を招いた勉強の場で、私はいわば生徒代表かな。昨年は〈水を考える〉〈海に聞こう〉〈ゴミをどうする〉というテーマで3回開催し市外や都内からも多くの参加がありました。今年は、放送作家の永六輔さんをゲストに迎えた『土をつくる』(2月15日)、カヌーイストの野田知佑さんをゲストに迎えた『育ちゆくものへの危機』(6月27日)、C・Wニコルさんをゲストに迎えた『森は生きているか』(10月30日)の講座。それに加えて、日常活動、課外活動、ワークショップなども展開していこうということになり、今年からレギュラー会員を募集することとしました。年会費は2500円。『鴨川自然王国』を舞台にして、例えばホタルを養殖するワークショップ等を計画しています」

◆その『鴨川自然王国』ではどのようなことを行っているのですか。
 「地形を利用した棚田、遺伝子組みかえを行っていない大豆畑、荒廃地を開墾した果樹園をトラストするのが主。トラストとは信託の意味で、年間の使用料で会員を集め、共同で収穫し、収穫物を均等配分するというもの。もちろん、環境や健康に配慮した有機農法。会員のほとんどは都会に住む中高年の方で、農的生活を楽しんでいただいています。自炊の宿泊施設もありますから気軽にいらっしゃられます。また、昨年から『里山帰農塾』を開講、3〜5日間という短期間で農業体験や里山での生活を学ぶ塾生も募集しています」

◆加藤さんは鴨川にとってなくてはならない市民ですね。3月27〜28日の『エコライフ フェスタinかもがわ』(環境省補助事業)では実行委員長でしたね。
 「これからの地球環境再生のために市民一人一人の生活の変革が重要課題。そうしたコンセプトに基づき、地球温暖化防止について見て・聞いて・体験しながら学ぶことのできる参加・体験型イベントです。りりィ&洋二など地元在住のミュージシャンだけでなく鴨川全域の小中学生が参加というのはすばらしいことですよね。先程の鴨川の環境を守る会ネットワーク以外にも、コスモス、ふるさとを守る会など、鴨川を、否、安房の環境を守ろうと多くの人ががんばっています。私もじっくりと腰をすえて、みんなと共に光ある未来のために活動を続けていきたいと思っています」

 王国を案内してくれた田中事務局長が山小屋の前で「今、研修生がひとり滞在して農業を学んでいる」という。費用は?と尋ねると、「作業を手伝ってくれているから無料です」。棚田を吹き抜ける風が心地よい。ここには現代に忘れられかけた何かが、確かにある気がした。     (富川)

問い合わせ/農事組合法人・鴨川自然王国
TEL/0470・99・9011

 



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