森林や田畑、川や池など、昔から人が生活し、手入れをしながら守ってきた里山。昨年5月、千葉県は、第54回全国植樹祭を開催し、ふるさとの美しい景観と生き物の宝庫である里山を残そうと、『千葉県里山条例』を全国に先駆けて制定した。毎年5月18日を『里山の日』とし、保全活動をする市民団体と里山所有者で取り交わされる『里山活動協定』を認定、現在22団体を支援している。
結成して2年目の『炭友会』は、県の認定を2番目に受け、市内の潤井戸にある30アールの竹林の手入れを月2回ほど行っている。会員は主に市の生涯学習講座『シルバーカレッジ』を受講した定年後のメンバーで、女性3名を含む60代から80代の22名だ。会長の谷村孝一さんは「最初は会の名前通り、炭焼きをしようと作った会なんですよ」と話す。
谷村さんたちは、平成13年の炭窯を作るカレッジに参加して、福増にある『市原市文化の森』の雑木林で整備を手伝い、そこに炭窯を作って竹炭を焼いた。約1年でカレッジが終了したとき、13名で「遊びやゆとりの気持ちを大事にして、炭焼きと交流会で楽しもう」と『炭友会』を立ち上げた。翌年度からは炭焼きの指導を市から依頼され、炭窯の点検・補修も行っている。里山活動に興味を持ったのは、炭の材料を調達するのに、竹山などに入って切り出しをしたことからだった。「地主さんに断って山に入るのですが、どこも竹が密生していて下草もびっしり生えている。陽がささずに薄暗く、倒木も多いし、地主さんが竹を切って積んだままにしていることもありました。それまでは全く里山という環境を知らないメンバーばかりだったのですが、高齢化で働き手がない地主さんたちに山の手入れになると喜ばれて、自分たちの趣味で社会貢献できるのかと、嬉しく思ったからですね」
そして昨年、県の里山条例制定を知り、本格的な保全活動に入る。炭の材料を提供してくれた竹山の所有者と3年間の協定を結び、会員でお金を出し合い、チェンソーやナタなどの工具を買った。手入れは秋、竹の間引きから始まった。まずは真っ直ぐに伸びた性のいい竹が残るように心がけて、古い竹約300本を切り倒し、山に陽が入るようにした。竹は1年で成長するが、5年で山全体の竹が入れ替わるように切るのが基本という。春には密集して生えてくる竹の子を掘り出して、適度な本数に調整。倒木も運び出し、山の中を自由に歩けるようになるまでに整備した。この5月から秋までは下生えの草刈りが中心だ。
炭友会では、今年度4回の炭焼きと、市の依頼で行う炭焼き体験が予定されている。「一度の炭焼きでは、直径約20センチほどの孟宗竹70本分を使います。節を取って長さ約90センチに切った竹は、4つ割り、6つ割りにして窯の中に並べる。良い炭を焼くには、良い竹を育てることも必要なんですよ」とメンバー。できた炭はメンバーの住む地域でレクリエーションのバーベキュー用や、池の浄化用、畑の土作りなどに提供されるほか、農林業祭で格安販売する。「今は炭の利用先が少ないことと会員の労力などを考えて地道にやっていますが、他の地主さんたちから依頼もありますし、私たちも荒れている山は気になります。できれば活動場所を広げ、大量に作る炭で市内の川の水質浄化などが実現できれば、と思っています」と谷村さんは話す。 (米)