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定年退職者の技術と能力が中小企業を元気にする


理事長の松本 武さん

 長年会社勤めをしてきた人にとって、定年退職は新たな人生の始まりでもある。趣味を極める悠々自適のくらし、再就職、新たな事業へのチャレンジ等、まだまだ元気な定年退職者にとって「第二の人生」の選択肢は様々だ。現役時代に培った豊富な経験、知識、技術を活かして経済活性化に役立てたいと、臨海コンビナート企業OBたちが地元中小・ベンチャー企業を支援するNPO法人を設立した。

 『NPOテクノサポート』は、今年1月に発足した県内初の企業OBによる中小企業支援NPO。理事長を務める市原市青葉台在住の松本武さん(61)は、昨年6月まで姉崎海岸に工場のある石油化学会社の取締役開発部長だった。「定年を控えた昨年の5月、特定非営利活動促進法が改正され、NPOでも経済活動が可能になりました。以前から、仲間内で退職後の人生をいかに過ごすかが話題になっていました。まだ皆元気、働く意欲も十分。産業支援で地域のためにお役に立とうよと、会社の枠を越えて仲間が集まりました」と話す。
 構想は決まっていた。松本さんは、退職と同時に設立に向けて活動を開始した。県の商工労働部に自分たちの事業を提案し、行政と協働して準備を進めていった。同時に能力を生かしたい企業OBへ、参加を呼びかけた。現在メンバーは、市原市を中心に17名。2年後を目標に100人程度に充実させる予定だ。「これまでも、中小企業が元気にならないと日本の産業は発展しないという思いがありました。国も県も中小企業活性化のために様々な方策を打ち出していますが、これからはNPO、行政、企業がパートナーシップで社会の様々なサービスを提供していく時代です。技術だけではモノは売れません。私たちも会社で苦労してきました。おもしろい技術を持っていらっしゃる中小企業も多いのですが、事業化までに持っていくのが大変なのです。それらをサポートするのが私たちの役目です」。知的財産を管理する弁理士、ISO監査員など、テクノサポートにはそれぞれ専門知識を持った会員が登録する。市場調査、開発、事業企画、海外展開、ライセンス契約等々、中小企業の要望に対して必要な技術者をピックアップして派遣する。
 「市原市に住んで30年以上。子どもたちが育った市原は私にとっても、ふるさとも同然です」と松本さん。退職後は妻と共通の趣味である木工細工に打ち込もうと思っていたのが一転。多忙な日々を過ごすことになってしまった。設立して6カ月、ホームページには多くの問い合わせがある。地元からは、新規事業を起業する時の資格保持者の紹介や新しい販路の開拓、そこから派生する技術的な問題解決のサポート、生産現場での改善等の依頼がこれまでにあったという。今後は大学の持てる技術を紹介し、大学と中小企業の橋渡しをする産学連携のコーディネートもしていく予定だ。
 シニア層の技術とやる気を地域経済の活性化に結びつけるNPOテクノサポート。「私たちは、自立継続的な活動を維持していく事業型のNPOを目指しています。有償ですが、格安です。メンバーは皆、馬車馬のように働いて来た団塊の世代ですが、NPOでは元常務も部長もありません。上司も部下もない対等の立場です。活動が互いの楽しみになるように、あせることなく、じっくり取り組んでいきたいと思っています。大手企業でやって来た連中ばかりなので、実際に一緒に仕事をして中小企業の目線に合わせる必要性を改めて感じています」と、顧客の要望に応えていきながら、自らも役に立てているという実感を得たいという。
 携帯電話とパソコンがあれば、何処にいても仕事はできる時代。現在、理事長の松本さんの自宅が事務所となり、県内のメンバーをネットでつなぐ。将来的にはフットワークの良い場所に拠点を開設し、互いの顔が見える形で中小企業の夢を形にしていきたいという。 (国)

 



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