9月下旬、養老川沿い佐是河川公園近くの畑が、そばの白い花で満開となった。地産地消をコンセプトに活動するNPO法人『もったねえよ・いちはら』が「そばづくりで遊休農地を活用し、農体験を通して農と食を学ぼう」と市民に呼びかけた。
空に秋の気配を感じ始めた8月21日(土)、約50名が参加してそばの種まきが行われた。「もったねえよとは、市原の言葉でもったいないという意味です。たくさんある市原のもったいないを何とかしたいと、現在10名ほどのメンバーで活動しています。今回のそばづくりは、もったいない遊休農地を魅力ある活用につなげるため、農体験を楽しみながら私たちも学ぼうというものです。花も食も楽しめるそばは、比較的やせた土地でも育ちます。蒔いてから75日で収穫できるのも魅力です。長老の話によれば、50年前には加茂地区でも盛んに栽培されていたそうです」と話すのは、代表の杉田健さん(69)。
スタッフが種の蒔き方の手本をパフォーマンスした後、参加者たちは、日照り続きで土ぼこりが舞う中、種を蒔いた畑に土をかけていった。「大好きなそばを、自分で育てて自分で打ってみたいと参加しました」「家庭菜園を楽しんでいますが、そばづくりは初めてです。味わえるのが楽しみです」「市外から参加しました。養老渓谷方面によく自然活動に訪れるので、ついでに寄りたいと思います」「近所に住んでいます。散歩の途中に看板を見て申し込みました。生長が楽しみです」と、参加者は名前を書いた札を、自分の畑に立てた。
3日後、無事に発芽。その後の生長は、目を見張るほど早かった。皆、自主的にやって来て、草取りなどを行った。「それぞれが、支えあいながら責任を持つことで農を楽しんでもらえればと、畑はオーナー制にしました。収穫後は参加者全員でそば打ちを体験し、食への感謝の気持ちを交換しあいたいと思います。地産地消といっても、市原に暮らす私たちが市原でどんな農産物が生産されているのか、あまり知りません。また地域のスローフードからは、歴史や文化を知ることができます。互いに学びながら、ふるさと意識を育む機会にしたいと思います」と杉田さん。10月3日(日)に開催するそば花見の会では、畑を会場に炊きたての新米とスローフードを味わう。この事業は県と市が支援する『いきいき市原ふるさとづくり』に採択され、地域の問題解決につながる活動として期待されている。
同NPOでは、農業従事者の高齢化等で放置されたまま荒れていく農地を、生産者にとっても消費者にとっても魅力ある形で活用していきたいという。今後は、収穫したそばの利用法を地元そば屋の協力を得ながら考えていく。「どこのNPOも事情は同じようですが、事業を進める中で運営費等の捻出には大変苦労します。そば栽培を機に、自立できるNPO活動にしていきたいと思っています」と話す。(国)