春、一面の黄色い菜の花畑を思い、種を蒔く。10月3日(日)に大久保の休耕田で行われた菜の花の種まき作業。3反を越す広い場所に、歓声をあげる子ども達。ふるさと加茂の良さを再発見、より良くするため様々な活動を行う『加茂里づくりの会』が実施した、農地の花畑化活動の一つだ。
「この時は、県内で不登校や引きこもりに悩む親子の連絡協議会『NPO法人ネモ・ネット』の親子40人が協力してくれました。あいにくの小雨模様で足下は悪かったんですが、子ども達は楽しんでくれたみたいです。普段都市部で生活している子が多く、泥にさわる機会は少ないんでしょうね。悪天候でも嬉しそうでした」と会長の大曽根友三さん(44)。
そもそもの会の発足は今年7月。市民団体と県と市が、まちづくりを協働する『いきいき市原ふるさとづくり』事業に参画したのがきっかけだった。「それまで地域の話合いの中で、荒れていく田畑や里山の自然、粗大ゴミの不法投棄など、問題点は数々挙がっていました。そこで『じゃあまず自分たちにできることから実行しよう』と。机上でなく、動き出さなければ意味がない、と思ったんです」
そうして始まった地元メンバー15人との、主な3つの活動。1つは、今ある里山の素晴らしい風景や風物を落とし込んだ『ふるさとマップ』の作製。「地元名所の再発見と同時に、ゴミの放棄場所が見直されることで、まず地元から、環境への意識が変わってくれることを願っています。マップは完成したら、地元商工会青年部発行の情報紙へ折り込もうかと検討中です」。2つ目は、ゴミの不法投棄対策に向けた看板や花壇の設置。そして3つ目が、農地再生・地域環境向上のための花の植栽事業だ。「8月に白鳥小学校の通学路に、地元子供会の協力でスイセンの球根を植えました。そのやりきれなかった部分を、10月に婦人グループが自発的に申し出てくれたのです。『他にも植えるとこある?』って。嬉しかったですね。おかげでスイセンロードは500m近くになりました。加茂には都会にない豊かな自然がある。こんなに良いものを荒れたままにしてはもったいないですよ。『ゴミを捨てない・片付ける』、『自分の所にも花を植えよう』。そんなちょっとした身近な気づきが、やがては加茂全体を良くする、大きな力になると思うんです」。みんなの手で良くなった加茂を、みんなで胸を張って自慢したい。荒れた土地は花畑へ。そこで生まれる人々の交流。先々は更に、都市で癒しを求める人へ、技術と経験をもったお年寄り等と、農林業など田舎の里山での生活を余暇活動として提供しよう。いわゆる『グリーンツーリズム』だ。「将来の理想形ですが、まずはできることから。でも花の植栽を通じ、ネモ・ネットのような都会の子どもたちに、体験の場を提供できたのはとても有意義でした。地元を良くするのに『誰かがやるさ』と待ってるだけでは何も始まらない。一人一人が少し『自分が』と意識して小さいことでも何かしてみる。難しくない。みんなで力を合わせれば、大抵の事はできるはずです」と力を込める。
今後も休耕田などに、菖蒲や菜の花の植栽を予定している『加茂里づくりの会』。最初の植裁成果、スイセンが、来年1月花を咲かせる。それを見て、また思いを強くしてくれる人があれば。花の後の実り、更なる人の輪の広がりを、大曽根さんと仲間たちは期待する。 (野)