「冬の養老川河口は、野鳥でいっぱいです。北国からやって来る渡り鳥、1年中見られる留鳥など様々です。自然観察を通して、地域の環境について考えてみましょう」。冬晴れの土曜日『京葉の環境を守る会』の呼びかけに、家族連れなど40名が集まった。
京葉工業地帯が広がる京葉小学校の学区は、交通量も多く、自然環境が良いとは言い難い。1998年11月、小学校の窓ガラスに清流の宝石とも称されるカワセミが飛び込んで来た。気を失い、掌の上でコバルトブルーに輝くカワセミを目の当たりにした職員や子どもたちは、その美しさに皆おどろいた。
当時、京葉小学校教頭として赴任したばかりの豊島安明さんは、地域環境教育に取り組む環境インストラクターでもあった。「学区をくまなくフィールドワークしてみると、イメージとは違っていました。養老川には多くの水生植物や野鳥が観察でき、干潮時、河口付近には広い干潟が出現しました」。豊島さんは、もっと地域の人に自分たちの住む街の自然を知って欲しいと、同小学校PTAに環境部を立ち上げ、皆で学区内を自然観察して歩いた。
当時PTA会長だった佐藤文男さん(51)は「臨海競技場裏のお世辞にもきれいとは言えない運河にカワセミを見つけた時は、びっくりしました。同時に、川の周囲に不法投棄されたゴミの多さにもおどろきました。観察を重ねるうちに、昔はどこにでもいたメダカが地域から消えていたことも知りました。東京に通勤する毎日、それまで無関心だった地域に対する意識が変わりました。大型店舗が進出し、新興住宅地への人口流入で市街化が進む中、学区内の社会環境も自然環境も大きく変化していました」と話す。
学校内だけでなく、活動を地域に広げたいという皆の気持ちが一致し、翌年PTAが主体となって『京葉の環境を守る会』が発足した。廃油石鹸づくり、花いっぱい運動、ネイチャーゲーム、オリエンテーション等を開催した。野鳥や植物観察会の時には、同時にクリーン活動も行うようになった。「見直そう京葉の自然環境」を合い言葉に、環境通信を発行し、様々な分野から講師を招いて地域で自然観察会を開いた。
小学校から地域に広がった会の活動も、今年で6年目。「華々しくスタートした会の活動でしたが、PTAのメンバーもすっかり入れ替わり、転勤された豊島先生ばかりに頼るわけにもいかず、ここ数年は継続することの大変さを感じているところです」と佐藤さん。PTAのOBがメンバーとなって運営する会の会員数は、現在約40名。一昨年からは、毎年開催する『野鳥観察会』と『養老川海浜性植物観察と漂流ゴミの清掃』は、市内に広く参加を呼びかけている。
「今日は、指導員の専門的な話が聞けるのを楽しみに参加しました」と、双眼鏡を覗く男性は、普段から住まいのある光風台近くの養老川沿いを散策しているという。地元京葉小学校からも、児童5名が親子で参加した。「ひとりでも多くの子どもたちに、地域の財産であるこの自然を大切に思ってもらえたらと活動しています。今後は、ネットワークを小学校区だけでなくPTA、町会も含め、五井中学校区にも広げていきたいと考えています」と、自然観察担当の野坂伸一郎さん(57)は話す。
参加者等は、会が準備した資料と双眼鏡を手に、養老橋から五井大橋までの土手を観察して歩いた。最後、実際に目にした水鳥の種類を観察指導員と共に確認しあった。(国)