「ボランティア活動のきっかけなんて、他愛のないものよ」と、話す永島輝代さん(63)。リサイクルグループ『かもめ』の代表だ。
昨年秋、活動を評価され『リユース・リデュース・リサイクル(3R)推進協議会』の経済財政大臣賞を受賞した。
14年前、古紙の値段が下がったため、学校で行っていた回収作業が中止され、家庭の古新聞は燃えるゴミとして出されるようになった。
その頃、ブラジルで環境サミットが開催され、様々なメディアで連日、ゴミ問題をはじめとする環境問題が取り上げられていた。そんな時流にもかかわらず、自分の住む地域では古紙を燃えるゴミとして扱っている。永島さんは、リサイクルに目を向け、きちんと回収して再利用につなげるべきだと考えた。そして、実行に移そうと決めた。
が、永島さんは病気の後遺症で手足が不自由だ。行動を起こすには同志やサポートしてくれる人達が必要となる。まず、近所の主婦達に声をかけた。皆、同じ思いだったので、会として立ち上げ、名前は御宿海岸で、よく見られる鳥『かもめ』と付けた。
業者をチャーターして隔月、回収場所を細かく周り回収を続けた。回収のお知らせはミニコミ誌を発行し、最初は手配りだったが、後に町役場に願い出て回覧板にはさみ、ほぼ町内全域に配布した。
「回収後に古新聞を出す人がいて、住民から引き取りに来いと言われ再度回収に出向き、とりあえず自宅に置いておいたことも」と、永島夫妻と運営に関わるスタッフ達は当時を振り返る。
古紙回収作業と同時に、スーパーや小学校、郵便局等にも呼びかけて牛乳パックや古切手等も回収してきた。
また、子どものうちから環境問題を考える場づくりをと、各学校にチラシを配り、10年前から年間8回のセミナー『アースレンジャージュニア』を発足した。川の水質検査を1年続け、川の汚れの度合いやどんな生物が生息するか調べた。毎年夏に自然観察会を兼ねた『エコキャンプ』も行った。更に、昨年秋から県が進める環境再生計画中の『なの花エコプロジェクト』にチャレンジし、子ども達と休耕田で菜の花を栽培している。今年5月に収穫し菜種油を採り、天ぷらパーティをして収穫祭を楽しむ予定。
「環境教育は大人が一方的に教えるのでなく、子どもと共に学び育っていく『環境共育』が正しいのかも」とは、このプロジェクトに参加した大学生のコメントだ。
他、会の活動としてリサイクル意識を高めてもらおうと、講演会やイベントも積極的に行った。地域の音楽家に出演を依頼しコンサートを企画し、その場で町のゴミの現状を撮った映像を流したことも。「環境問題というと皆さん、堅苦しいと思われるから文化活動と抱き合わせで抵抗感ないようにね」と永島さん。
2年前、容器包装リサイクル法がスタートした時、永島さんは古紙回収作業を行政の手に委ねようと考えた。「行政がやった方がボランティアより効率が良いと思ったし、その時期であるとも判断したから」
御宿町の役場も承諾し、11年以上にわたった古紙回収ボランティアは終わりを告げた。
そして、今『かもめ』は、新たに具体的な活動目標をと、皆で話し合いを重ねている。永島さんは「いずれにせよ環境問題に取り組んでいく。環境に関わる問題は、はいて捨てるほどあります。ひとつ問題をクリアしたから、それで終わりということではないのです」と話す。古紙回収で得た還元金を会の運営資金にあてていたが、それもなくなったので会費制にして組織化をはかり、現在80名の会員を擁するようになった。
昨年から『かもめ』が呼びかけ町内で活動する4つの環境団体と自然観察員等が共催して、環境問題を中心にした町づくりがテーマの『環境くるま座懇談会』を行っている。今、盛んに叫ばれている行政と市民がパートナーシップをとる手段として、3カ月に1回、町役場の職員とボランティア団体の代表等が一同に車座となって集まり、各団体から提案された議題について話し合い、実現化に向けて取り組む。
現在、ミニコミ誌は年に数回発行し、新聞折込で各家庭に配布している。これまで古紙回収のお知らせや回収結果の報告が主な内容だったが、今後は環境問題に関わる情報を積極的に提供する紙面作りをとリニューアルしていく。
「よく講演会の依頼を受けますが、船橋や八千代など都市部が多いです。先日、珍しく県南部の鴨川市から依頼されましたが。私としては地元から声をかけてほしいんですけどね」と、永島さんは苦笑する。
今後は町内外の各団体にも呼びかけ、ネットワークし協力し合い環境問題に取り組んでいこうと考えている。とりあえず、現時点では、古紙回収以外の活動はそのまま、ゴミ軽量化を目指し『マイバッグ』普及に努めたり、環境に関するセミナーも開き、市民と一緒に考える場、活動する場をもっと拡げていきたいと話す。 (内田)