シティライフ株式会社

NO.63

 まちのアートギャラリー
 子どもたちの壁画で
落書きが消えた

 今年3月、村田川沿い県道の館山自動車道下の壁に、県立市原八幡高校学校美術部の生徒たちによって『鳥獣戯画図』が描かれた。この夏、多くの人が訪れる高校総体のサッカー会場は目の前。落書きだらけの壁を何とかしたいという地域の思いに高校生が応えた壁画制作となった。活動の陰には、地域ボランティア団体やこれまで市内各地の壁画活動を支援して来た市原市塗装協同組合の存在があった。
「交通量の多い地域ですが、周辺の川や田んぼには、まだまだ豊かな自然が残っています。もっと自分たちの住むふるさとに目を向けて欲しいというメッセージを込めて描きました」と、市原八幡高校美術部顧問の岩佐立一朗教諭(53)と部員たちは話す。部員の半数を占める3年生が卒業する前に完成させるため、3月のテスト休みを返上しての作業となった。幅27メートル、高さ5メートル。寒風吹き抜ける中、4日間で描き上げた生徒たちの表情は、達成感と誇りに満ちていた。
「今回は、日本画のタッチを出したいというので、艶消しの塗料を手配しました」と話すのは、市原市塗装協同組合理事長の井村裕明さん(63)。塗料、足場の設置と撤去、その他刷毛など副資材の一切を提供する塗装協同組合による支援は、平成9年の五井中による白樺の絵が始まりだった。「市内の見苦しい落書きをなくすため、自分たちの塗装技術を持って社会貢献したいという組合員の思いからスタートした活動でした。落書きの上からペンキを塗るだけでは、また落書きをする場所を与えることになるので、中学生に絵を描いてもらおうということになったわけです」。継続的な活動となったのは、平成13年の若葉中と国分寺台中による市役所通りの壁画から。以後、絵の上から落書きされることはなくなった。山木入口交差点、藤井交差点、姉崎地下道と、中学生による壁画は市内に増えていった。
「暑い中、中学生の一生懸命に取り組む姿を見て感激しました。辰巳台中学校の生徒たちが十二支を描いたのは、自分たちの学校名に興味を持ったからと聞いて、改めて絵に込められたメッセージの深さを感じました」。その後も塗装組合では、壁画制作の体験を通してボランティア活動の大切さを学んだ生徒たちが、地域の公園の清掃活動と共に遊具やベンチを塗装するのを支援しているという。「5年後、10年後、壁画を描いた子どもたちは、きっと自分たちの絵を見に足を運ぶことでしょう」と井村さん。
 平成14年度、塗装組合の活動は市のまちづくりアイデア事業に採択され、助成の対象となった。自分たちも描きたいという要望も多く来た。しかし、景気が低迷する中、市内14事業所が加盟する塗装組合だけで支えるには、あまりにも負担が大き過ぎた。「話し合い、今後は多くの市民団体の参画を得ながら、事業を進めて行こうということになりました。今回の市原八幡高校のみなさんの壁画は、地域で活動する市民団体の協力や企業の協賛を得ることで、私たちも社会貢献することができました」。都市景観活動のひとつとして、市民、企業、行政が協働して壁画支援を推進していきたいと、井村理事長は話した。(国)

 



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