NO.67

 住民の力で福祉を支え合う
 地域づくりを!
 悩み事相談を24時間
 365日体制で受け付ける

 中核地域生活支援センター
 『夷隅ひなた』 (大原町)

 夷隅郡市を対象エリアに、障害者、高齢者から子どもまで、福祉のあらゆる分野の悩み事相談を24時間体制で受け付ける中核地域生活支援センター『夷隅ひなた』(池口紀夫所長・64歳)に今、熱い視線が注がれている。
 中核地域生活支援センターとは、(1)誰もが、(2)ありのままに・その人らしく、(3)地域で暮らすことができるという「新たな地域福祉像」の実現に向けた、県の地域福祉支援計画の具体化の一環。地域に埋もれている住民の「福祉力」を掘り起こし、ネットワーク化して新たな地域社会作りをとの官民協働の試みだ。
 夷隅地域では昨年10月、県の委託を受けたNPO法人『長生・夷隅地域のくらしを支える会』が茂原市に拠点を置いて活動してきたが、今年4月に『夷隅ひなた』として新しく夷隅郡市の住民を対象にスタート。
 事業活動は、(1)相談(2)権利擁護(3)地域のネットワーク作りのためのコーディネートの3つが柱。(1)は、電話、来所、訪問、メール等で、子どもから高齢者まで全ての相談に応じる。より専門的な対応が必要な場合には、たらい回しをせずに、ネットワークを活用し、弁護士や医師などの専門家の助言を得て解決を図る。(2)は、不当な差別を受けたり、理不尽な扱いを受けて苦しんでいる人の予防、救済、解決を図る。(3)は、相談者の多様なニーズに地域全体で対応するためのネットワークを作り、そのコーディネーターの役割を果たす、等の取り組みをする。(相談は無料)
『夷隅ひなた』の事務所は、いすみ鉄道・西大原駅から徒歩数分の小高い丘の上。童画風の心和む絵の木壁が目印だ。児童養護施設子山ホームのあるチルドレンス・パラダイスの敷地内に建つ。
 相談にあたるのは、障害者福祉、高齢者福祉、児童福祉等の経験者である常勤、非常勤の職員5人の交代制。4月1日のオープン以来、支援や救済の手を求める人が多く、既に342件(2005年5月末現在)の相談を受け付けている。
 訪れた日もこれら相談者の問題解決の対応に忙しく、職員は各地に出払っていた。相談内容は、親の虐待に泣く子ども、父親の失業や病気で明日からの暮らし向きに困る家庭、障害のある子どもをどう育てればよいのかと悩む母親の深い心労、家庭内孤立感にさいなまれる中高年の障害者等々、様々な精神的苦しみを受け止めてもらいたいと、訴える人がいる。介護に疲れ果てている人、差別や暴力などの人権侵害を受けている人、多重債務に苦しむ人もいるという。
 福祉の仕事ひとすじ38年というキャリアの池口所長は、「行政の制度による支援やサービスもそれなりに整っているが、これらの相談は行政だけでは解決できない問題が多い。これからの時代は行政の縦割りだけでなく、民間の事業者や住民の誰もが助け合って安心して暮らせるための仕組みを地域の人達と共に作る、横のつながりを強めることが大切」と話している。
『夷隅ひなた』の今後の歩む道について池口さんの思いはこうだ。従来の福祉活動を振り返ると足りないものがある。その欠けたところを重点的に補いたいとの考えだ。  
「一つは『暮らしのホームドクター』としての働き。生きる意欲を失い、生活を放棄している障害者を自立に導くためには、いつも傍にいて日々の暮らしのお手伝いを継続的に続けること。長期戦になるが必ず自立の道を模索していく。第2は『暮らしの救急車』としての役目。相談事の大小を問わず、相談者のいざという時にはすぐ対応できる体制を整えたい。第3は、『福祉コーディネーター役』の強化。相談の解決のために役立つ人材をはじめ、協力施設や公的制度の活用等を含めた、各種の『地域の福祉力(ちから)』をつなぎ合わせる作業。これらは福祉の総合相談窓口としては欠かせない条件と考えている」と言う。(井上)

夷隅ひなた
TEL.0470-60-9123
(中)池口紀夫所長
(右)『夷隅ひなた』の目印は、トークでご紹介した大多喜町在住のハッピーアート画家、浅香良太さんによる絵壁

 



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