9/10(土)、YOUホールで『障害者差別をなくすためのタウンミーティングin市原』が開催された。主催は、福祉施設スタッフや団体ボランティア、障害者、健常者など24名の市民有志の実行委員会。県内では、県が全国に先駆け行っている『障害者差別禁止条例』制定に、30カ所以上で市民が理解を深めようと自主的にタウンミーティングを開催している。市原では健常者、障害者を問わず、市内近隣から300名以上が集まった。
実行委員会は、今年5月、福祉の総合相談とコーディネートを24時間受ける県の委託事業『中核地域支援センター』スタッフと関係者が発起人となって始まった。「小規模な意見交換会にするか、障害者問題を多くの人に知ってもらう企画にするか、議論しました。県の官民合同の『障害者差別をなくす研究会』が9月に中間報告を行うことと、障害者と健常者のお互いの理解の低さがすれ違いを生み、積み重なって『差別』になるのではという意見から、県職員を招いて、市民の皆さんに現状を伝え理解を深めていただこう、となりました」と委員長の小野聰さんは話す。一般から委員を公募し8名が加わり、話し合いを重ね、誰もがこの問題を理解できるよう、また参加者に発言の場を作ろうと、講演とシンポジウムの2部構成とした。委員たちは当日の運営を分担。要約筆記と手話通訳、手話で行われる発言に同時通訳、見やすい席位置など、障害によって不自由がないよう配慮をした。さらに市内から差別と思われる事例を募集し資料に添付。会場係の市民ボランティア約20名が、誰もがスムーズに移動できるよう、案内や受付、席への誘導や介助などを行った。
県の条例制定は、障害者への偏見や誤解のため、生活のなかで起こる様々な不利益の実態を把握し、それをなくしていこうという取り組みのひとつ。障害者差別を禁止する法律は、先進国を中心に世界40カ国にあるが、日本にはない。平成13年、国は国連から法律制定を勧告されたが、その動きは鈍いまま。県の条例づくりは、県民の意見をタウンミーティングから得て、それを元に行政側が内容を検討する珍しい方法だ。さらに県から国へ法律制定を働きかけるなど、全国の注目度も高い。
講演では、県障害福祉課長・竹林悟史さんが、「県公募の『差別と思われる事例』には約700件が集まった。誰もが、ありのままに・その人らしく、地域で暮らす社会を実現するためには、県民全体で差別とは何かを考え解消していく努力が必要。条例づくりはそのきっかけ。障害者差別をなくす活動は、やがて高齢者や育児、女性、外国人、部落問題などの差別をなくすことにつながる」と述べた。シンポジウムでは、聴覚障害者で市原市ろうあ協会の長谷川智恵子さんが「障害者と分かるとコミュニケーションを拒否され嫌な思いをすることも多い」と体験を話し、障害者差別をなくす研究会副座長で視覚障害を持つ高梨健司さんは、「障害者の不便で辛い状況をなくす『合理的配慮』がアメリカやスウェーデンでは社会の義務。障害は性差と同じく、本人の責任ではなく、生まれ持った個性と同じ。しかし非障害者は、障害者を知る機会がないため対応を間違え、差別となってしまう」と根本的な問題を提起。オリエンタルランドグループ・(株)舞浜ビジネスサービス代表取締役の石井明彦さんは「当社は20業種で知的・身体障害者約120名が就業。職場内のトラブルも、スタッフ間で理解が進むとどんどん改善される」と、現場での実践を話した。
来場者からは「何が原因で差別が日常的に起こるのかが分かった」「初めて福祉に関しての話を聞いた。私たちも理解する努力が必要で、それが地域づくりにつながるという話に納得した」と、次の開催を望む声が多く寄せられた。委員長の小野さんは「周囲の理解を得るため、障害者が感じる差別を自ら発言し、多くのことを学ぶべきと実感しました。委員会では活動を継続し、数十人のミニタウンミーティングなど、市民の意見交換の場を考えていきます」と、各団体と連携をはかり、健常者と障害者が相互理解できる機会づくりを行っていくと話した。 (米)