毎日、新聞やニュースなどで様々な事件が世間を騒がせている。そんな現場の第一線で活躍するのが警察官だ。
市原警察署五井交番に勤務している塚田正道さん(25)は、昨年夏に警察学校を卒業したばかりの新米お巡りさん。浦安育ちの彼は、幼い頃からテレビや映画の刑事ドラマが好きで、警察官の仕事に憧れていた。
「『あぶない刑事』や『踊る大捜査線』で主人公が捜査をして事件を解決する姿が、格好良くて大好きでした」と塚田さん。高校の時、老人ホームの介護ボランティア活動に参加。『何かに困っている人のため、自分にも出来ることがある』と感じ、この頃から『誰かの役に立てる仕事がしたい』という気持ちが強くなったそうだ。
「僕が当時抱いていたお巡りさんのイメージは2種類ありました。まず1つ目は『恐い』ということ。悪いことをしても、きっとどこかで見られているだろう、何でもお見通しなんだという感覚がありました。そして2つ目は『頼りになる存在』だということ。トラブルに巻き込まれそうになったら、真っ先に思い浮かぶのが『110番』でしたから」
浦安の大学を卒業後、一度は会社員として就職。「双子の弟は高校卒業後すぐに警察官になりました。制服で働く姿を見て、『自分が本当になりたかったのはやはりこれだったんだ』と気づきました」と塚田さん。それからは仕事を辞め、1年間公務員試験の勉強に専念。昨年2月に警察学校に入校した。
「学校では心構えや法律など、基本的な事を学びました。また、この仕事は体力も必要。剣道や筋力トレーニングで体を鍛え、犯人を捕まえる時に使う逮捕術も習いました。体力には自身があったのですが、とても厳しかったのを覚えています」と苦笑い。
卒業後、最初の配属先となったのが現在の五井交番。ここは電車利用者だけでなく、深夜まで営業している店舗も多数あり、朝から晩まで常に人々で賑わっている地域だ。着任後、まず実感したのは想像以上の仕事の忙しさ。1日のうち、暇な時間は滅多にない。迷子、盗難、暴行騒ぎなど、様々なトラブルが毎日のように起こる。
「市原に来たばかりの頃は、どこに何があるのかもわからず苦労しました。困っている人の元にはすぐに駆けつけたいので、地理を必死で覚えましたね。深夜になると、お酒を飲んで泥酔した人が駅前で暴れていたり、車上荒らしが頻発することもあります。ですから常に気持ちを引き締めて仕事に臨んでいます」
真面目で誠実な塚田さんは、職場の上司からも期待されている。「先輩達はこれまでに様々な経験をしてきた方ばかり。いろいろなアドバイスをくれます。中でもいつも言われるのが『現場へ行きなさい』。何事もまず自分の目で見ることが大切。現場へ足を運ぶことで、自らの成長にも繋がります。それに皆、優しさと威厳を兼ね備えているんです。間違ったことをした人には正しい事をビシッと教え、困って助けを求めてきた人には親切・丁寧に接する。そんな先輩方のようなメリハリがきちんと出来るように、日々心がけています」
だが全ての事件が必ず解決するとは限らない。塚田さんの担当区域でも以前、深夜にひったくり事件が発生。交番に現れた被害者に事情を聞き、捜索の為に出動。しかし、残念ながら逃亡した犯人を捕まえることができなかった。
「私達を頼って来てくれた被害者の方の力になれず、本当に悔しかった」と話す。こうした悔しい経験が、事件解決への気持ちをさらに大きくさせているという。
また、『命』への考え方にも変化が。「この仕事をする前までは、『自分が生きているのは当たり前のこと』と、あまり深く考えていませんでした。しかし先月、3台の車の玉突き事故が発生。原因は1人の運転手による飲酒運転でした。幸い、被害者の方は軽傷で済みましたが、一歩間違えば死亡事故に繋がります。それからは『命は尊いもの』だと強く感じるようになりました」と話す。
そんな塚田さんも休日は友人と出かけたり、音楽鑑賞をするなど、普通の青年と変わらない。それでも警察官になる前と比べると、周りを見る目は随分変わったという。「携帯電話で話しながら車を運転している人や、信号無視をしている人などを見かけるとついつい目で追ってしまいます。無意識に『警察官の視点』で物事を見るようになっているのかもしれませんね」
仕事へのやりがいは、市民の皆さんが喜んでくれること。「トラブルが無事に解決した時、被害にあった方が笑顔で『力になってくれてありがとう』と言ってくれた時は本当に嬉しかった。僕がこの仕事をしていて良かったと思う、最高の瞬間です」と満面の笑みで語る。
「人はお互いに助け合って生きています。ですからまちのお巡りさんとして自分ができる『人助け』を精一杯やっていきたい。そして皆さんの力も必要です。何か事件解決の手がかりとなる情報があれば、是非ご協力頂きたい。安心して暮らせるまちを皆でつくりましょう。何かにお困りの方は、気軽に相談しに来て下さいね」と塚田さんから市民へメッセージ。
彼は今日も地域の安全のために、まち中を走り回っているはずだ。(斉藤)