最近、中高年男性の料理教室の人気が高いそうだ。核家族、高齢化社会を反映して、定年退職を機に「独り暮らしになったとき最低限、生活で必要なことができないと」という人もいれば、単身赴任で「毎回、外食というわけにはいかない」という人、趣味の釣りや家庭菜園の延長線上で「自分で得た食材で何か作ってみたい」という人も多いとか。
成東町でも、役場隣りにある保健福祉センター内の調理室で『おとこの料理教室』が開かれている。この教室は、9年前に家事援助ボランティア『ひまわり会』が社会福祉協議会から依頼を受けて始めた。
教室は毎月1回、主に第2火曜日(午前9時半から正午まで)。参加対象は60歳以上の男性。現在は60代前半から80代の男性達が通って来ている。
調理実習の他、年に1回、貸切バスで『視察』と称して日帰りでお出かけする。昨年は11月に、江戸博物館と根津美術館へ。いわば、親睦を兼ねた、お楽しみ。それと別に毎年、1月と4月に『親睦会』を催す。1月は社会福祉協議会の一室で、自分達で作った石狩鍋と太巻き寿司で新年会を。4月は入会者が多いので、おにぎりや唐揚げ、煮物などで行楽弁当を作り花見がてら歓迎会を行う。
12月の活動日。この日は町のイベントがあるため、参加者はいつもより少なく12人。先生役の『ひまわり会』の皆さんが7人。9時半にレシピの説明が済むと、すぐに5つの班に分かれて調理スタート。
本日のメニューは、めかじきの生姜煮、筑前煮、紅白なます、ニンジン・ゴボウ・ハス・大根のきんぴら、大根飯・大根と油揚げの味噌汁。毎回、献立を考え、食材を用意する『ひまわり会』代表の鵜澤詢子(うざわじゅんこ)さん。参加者の年代を考え、旬の野菜を使った和食メニューが中心だという。
「私達のモットーは、口は出しても手は出さない」と、男性陣が常に何らかの形で調理に関われるよう配慮しつつ、手本を示した方がいい、教えるのにやってみせた方がいい、というところは自分達でやってみせる。
三角巾を被りエプロン姿の男性達。材料の鶏肉を大まじめな顔つきで「手でつかんでもいいですか?」と先生役の女性に尋ねる人。鍋が煮立つと「煮立ってきましたけど!」と、慌てて報告に行く人。大根をトントンと切る音は良いが、「あら、切れてないわよ〜」と言われて照れ笑いする人。中には手慣れた包丁さばきの参加者もいたが、大半は「なんとか切りました、むきました」という感じ。でも、先生役の勝田さんが「料理で大切なのは技術じゃなくて真心よ」と温かい眼差しを向ける。時に笑い声もあがり和やかな雰囲気だが、男性達はみな真剣そのもの。動きは不慣れであっても丁寧に取り組んでいる。
11時を過ぎると調理室内にいい匂いが漂ってくる。盛り付けをする人がいる一方で、洗い物に専念する人もいて、アッという間に食事タイム。手際がいいな、と感心する。「参加者の奥様が言うには、『今まで何もしなかった旦那が、ご飯の後片づけやお皿を洗うようになった』んですって」と鵜沢さん。
食事中もやはり料理の会だけあって、男性といえど食に関して話が弾む。各自、タッパーや弁当箱持参で余った料理は分けて持ち帰る。
入会して半年という参加者は、「家内と二人暮らしで、『私が倒れてからじゃ遅いから、今のうちに料理に慣れておいて』と言われて参加してます。最近は家でも料理をするようになりました」と言い、他、やはり「女房に言われて」という参加者が多い。「実家に一人で暮らす94歳の母の介護で料理を」とは参加して7カ月目の男性。また、ある男性は「料理は全くやらなかったんですが、1日ひとつでも何か覚えられればいいかなと。実は、僕が料理できるようになり、毎月1日でも台所に立って、女房に三食昼寝付き、一番風呂付きの主婦感謝デー!なぁんてしてあげたいなという目標があって…」と茶目っけたっぷりに話す。在職中から料理には興味があったが、余裕がなくてできなかった。やってみたら面白い、友達もできて楽しい、栄養を考えるようになった、調理だけでなく食材を無駄なく使い切る方法など基本的なことも教えてくれて役立つ等の感想も聞けた。
きっかけは、必要に迫られてでも、始めてみたら、当初考えてもみなかった楽しみや目的がみつかるようだ。随時参加OK。参加費は1回500円。 (内田)