NO.72

風に吹かれて出かけてみれば…

― 市原市廿五里 ―

ハウスの中は春らんまん  
直売とオーナー制で苺交流

 廿五里と書いて「ついへいじ」と読む。地名の由来は、鎌倉からの距離によると云われる。養老川沿いの水はけの良い土地には梨畑が広がり“いちはら梨”の生産地として知られる。また、ハウス栽培のイチゴも梨と同様に県下有数の特産地。廿五里下河原地区に渡辺農園を訪ねた。
 田んぼの中、青空に光るハウスがいくつも並ぶ。ハウスの中は、北風が吹く外とは違い受粉用のミツバチが飛ぶポカポカ陽気。グリーンに白い花と真っ赤に熟した赤いイチゴがあざやかだ。この地区のイチゴ栽培農家は約10軒。12月末から5月ごろまでが収穫時期。市場に出荷する他「お客様と交わす会話が楽しみ」と、直売所でも販売する。「昨年までは“女峰”を栽培していましたが、今年はどの農家も酸味が少なく甘い“とちおとめ”が主流です」と、栽培品種も消費者ニーズにあわせて変える。渡辺農園では“章姫(あきひめ)”も栽培している。“女峰”と糖度は同じだが、酸味が低いのでモモのような甘さを感じる。
 廿五里のイチゴ栽培農家のほとんどが梨栽培も手がけている。4月は、梨の受粉とイチゴの収穫が重なり、毎年「ネコの手も借りたい」状況となる。この時期は、手伝ってくれるパートの主婦を確保するのも一苦労という。そこで市の農業振興協会に所属するイチゴ部会(渡辺一男会長)では、最盛期のイチゴハウスを一般に開放して収穫を楽しんでもらう『イチゴオーナー制』を4年前にスタートさせた。4月中旬からの1カ月間を1区画150株を1万3千円で貸し出し、自由に摘み取ってもらうというもの。リピーターも多く、年毎に応募者が増えて昨年は238区画。今年の募集は3月末を予定している。
「摘み取りやすくしてある観光農園のようなわけにはいきませんが、消費者と生産者の交流の新しい形として定着してきたようです。イチゴ本来の旬は4月から5月にかけて。気温も高く熟すのも早いので、気温の低い朝のうちに収穫しなくてはいけません。梨の忙しい時と重なって農家は大変です。一番美味しい時期のイチゴを味わって欲しいと、オーナー制をスタートさせました」と渡辺さん。イチゴは花が咲いて食べられるまで1カ月。3日に1度程度の収穫が可能という。なによりも自由に自分で摘めるのが楽しいと、利用者に好評だ。市内近隣からの申し込みが多いが、館山自動車道の側道1本で来られる利便性からか、おゆみ野方面から訪れる人もある。養老川沿いには梅の花もほころび、廿五里はこれから桜、梨に彩られる。   (国)


地図(pdfファイル)
独特の形をした“章姫” イチゴハウスの長さは約75メートル。

養老川に架かる廿五里橋も梨のデザイン。
桜が終わる頃、一面に梨の白い花が咲く。

 
 



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