NO.86

風に吹かれて出かけてみれば

千葉市蘇我「ビオトープそが」
人と自然が共生する
『憩いと学びと遊びの空間』誕生


今年4月、東京電力千葉火力発電所敷地内に『ビオトープそが』がオープンしました。最新発電設備建設に伴い、古いプラントがあった跡地の一部18ヘクタールは「憩いと学びと遊び空間へ」をテーマに、自然豊かな公園に生まれ変わりました。広い園内は、かつて沿岸地域に見られた様々な自然が復元されています。
 市原から千葉方面へ蘇我陸橋上を左折すると、千葉火力発電所のシンボル、2本のタワーが目の前に現れます。空き地に敷かれた道の向こうに見えて来たのは、総出力288万キロワットの最新鋭火力発電所の建物。正門手前右が『ビオトープそが』の駐車場です。
 園内には、実りの丘、めぐみの田んぼ、果実の丘をはじめとする生態系に配慮した緑地が多様な形で再現されています。
「地域の方々のご意見を伺いながら、皆さんに親しんでいただける空間として計画しました。まだ誕生したばかりです。数年後、草木が育った時はもっと多くの昆虫や鳥が集まる場所となるでしょう」と、千葉火力総務グループの高田鉄男さんは話します。製鉄所のクレーンや貨物船をバックに、初夏を彩る菖蒲があざやかに咲くふれあいの池や様々な水鳥が飛来する水鳥の池など、人と生物の共生が公園づくりのコンセプトです。
 中でも3.5ヘクタールの広さのコアジサシの丘は、東京湾の埋め立て地を繁殖地とし、近年その数が激減して絶滅危惧種に指定されているコアジサシのための営巣地としてつくられました。一般開放される前、昨年と一昨年の春から夏にかけては、数百〜千以上のつがいの子育てが確認されましたが、何故か今年は飛来していません。「きっと、違う場所で営巣しているのでしょう。来年に期待しましょう」と高田さん。保護のため丘には近づけませんが、園内の小高い所に設置されている野鳥の窓からのぞけば、水鳥の池も一望できます。そこから遊歩道を進むと、間もなく海の散歩道に出ます。以前桟橋だった場所では、潮風に吹かれて散歩するファミリーや、のんびり釣りを楽しむ人の姿もみられました。
 アウトドアを楽しんだら、休憩を兼ねて空間ふれあいの舘へ。コアジサシの鳴き声と子育ての様子を紹介するウェルカムオブジェが迎えてくれる『コアジサシの部屋』では、ライブで野鳥を観察したり、パネル、映像、パソコンで遊びながら自然を学ぶことができます。花いっぱいの広場には、ソーラー発電のシステムや旧発電所で活躍したタービンロータやボイラドラムなどが、オブジェとなって展示してあります。
 平日であれば、10時半〜と13時半〜の2回、予約なしで火力発電所の見学もできます。お天気がさえない梅雨時、ここなら火力発電のテクノロジーと同時に豊かな自然を身近に感じることができます。緑いっぱいの『ビオトープそが』は、まるで工場の中のオアシスのようでした。 (国)

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