NO.89

風に吹かれて出かけてみれば

― 市原市宿「トンボ池」―
トンボ舞う初秋の里山

 国道409号線米沢交差点を笠森観音方面へ。うぐいすラインを過ぎ、内田郵便局が見えたら市原市宿。相模屋前バス停の向かい長栄寺への道を入ると、そこは自然豊かな里山。谷津田の奥まったところに『市原トンボ池の会』が整備するトンボ池があります。
 1996年12月、失われていく市原の自然を見直し、子どもたちに豊かな自然を残したいと仲間が集まりました。そして翌年の2月、宿の休耕田にトンボ池が完成しました。以来7年、毎月第4日曜日に集まり、活動を続けています。
 トンボ池へは、宿公民館に車を止めて歩きます。数件の民家が散在する道沿いには、道祖神や清水湧く横穴井戸が2カ所。そばには、野菜を洗うカゴが置いてありました。抜けるような青い空に、クリの青いイガもはじけ始めています。何本かの道を分け、ツリガネニンジンなど秋の野草が咲く山沿いの道を行きます。稲刈りが終わったばかりの田んぼには、赤トンボの代表アキアカネが飛んでいました。
「ここは30年間休耕田となっていた場所です。当時はアワダチソウが生い茂る荒れ地でした。地主さんの理解と協力をいただき、皆で草を刈り、池を掘り、木道を渡して観察路を作りました」と話すのは、会長の河井直幸さん。初秋のトンボ池では、ギンヤンマ、シオカラトンボ、ノシメトンボ、マユタテアカネなど、15〜20種類のトンボが見られます。園内のメッセージボードには、会員が確認したトンボや昆虫の名前が記されていました。「整備したばかりの頃は30種類以上のトンボがいましたが、減ってしまいました。繁殖したザリガニが、トンボの幼虫のヤゴや生息するための水草を食べてしまったからだと考えられます」
 草丈、水量、水の流れや汚れ具合によってトンボは環境を上手く棲み分けるといいます。「トンボにも、いろいろ好みがあるんです。現在、日本に生息するトンボは200種類弱。千葉県では80種類、市原では45種類が確認されています。房総は高い山がない分、種類は減りますね」と、トンボに関しては詳しいメンバーたち。ちなみに、アキアカネは5月に生まれ、夏の間は高山に避暑に行き、涼しくなる9月頃平地に戻って来るのだとか。初め茶色だった身体は、秋の深まりとともに次第に赤くなるといいます。繁殖の季節、池周辺では2連で飛ぶトンボたちが空を舞っていました。「トンボの魅力はその姿の美しさ」とメンバーは口を揃えます。市原市の保全地区に指定されているトンボ池では、目がブルーのヤブヤンマや金緑色の光沢が美しいタカネトンボも確認されています。
 トンボ池の会では、ここをフィールドに年5回、子どもたちの自然観察会を開催しています。柿が実り、ベンチの上の大モミジが色づき始めるのも間近か。初秋の里山では、トンボだけでなく貴重種の昆虫や動植物も観察できます。出かける時は、ハンドブックや双眼鏡を忘れずに。 (国)

地図(pdfファイル)


左から尾崎さん、河井さん、森さん


園内に咲くツリフネソウ


マユタテアカネ

  



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