NO.91

風に吹かれて出かけてみれば

―君津市亀山湖「猪ノ川渓谷」―

渓流に映える岩肌の紅葉に誘われて

 房総の紅葉スポットとして知られる君津市亀山湖周辺。「湖面に映える紅葉は格別」と、12月7日まで開催の『オータムフェスティバル2003』では、入り組んだ湖の紅葉ポイントへボートで行く紅葉狩りクルーズも楽しめる。観光客と共に多くのハイカーで賑わうのもこの時期。今回、折木沢をフィールドに活動する『NPO森林塾かずさの森』主催の植物観察会へ参加し、黒滝から普段一般には公開されていない東京大学演習林へと、足を踏み入れた。
 JR久留里線上総亀山駅から、猪ノ川渓谷へは車で約5分。おりきさわボート、亀山湖オートキャンプ場を過ぎると車止めのゲートが見えてくる。水がしたたる素堀のトンネルを抜けると、黒滝が現れる。黒い岩肌に燃えあがる紅葉が人気のスポットだ。さらにその向こうのゲートが、東京大学演習林への入り口。
 林学の教育研究の実習地として、清澄周辺地域が演習林となったのは明治27年のこと。以来、貴重な自然が守られている。平成12年、2200ヘクタールが東京大学大学院農学生命科学研究科附属科学の森教育研究センター千葉演習林となった。観察会は11月の中旬「モミジ類はまだ一部色づいている状態。赤く色づいているのはハゼノキ。フサザクラやケヤキも黄色やオレンジ色になってきました」。本日の講師、千葉演習林の蒲谷(かばや)肇助教授の案内で、猪ノ川沿いに参加者は落ち葉を踏みしめて歩く。清澄山系を源流とする猪ノ川の流れは澄み、川床とつながる何層にも重なった岩壁はまるで幾何学模様。昔は海の底だったという。山は低いが、谷が深いのが房総の特徴だ。
 林道の向こうに、色づいた落葉性の針葉樹メタセコイアが見える。「ここは、自然を残すべき所と、人手を加えて保全するべき所をきちんと区別し、管理実験する森。だから、様々なタイプの森林、植生、地質を観察することができるのです」。何となく千葉の森と違う印象を受けたのは、そんな理由からだった。秋の訪れが遅い房総の紅葉の見頃は、11月の終わりから12月の初め。今秋の演習林公開日は、残すところ29日と30日の2日だけとなったが、12月6日には森林塾かずさの森で猪ノ川林道から往復10キロを歩く野鳥観察会の予定もある。
 帰り、猪ノ川渓谷沿いに演習林に隣接する森林塾かずさの森の活動拠点を訪ねた。代表の岩田和久さん(53)の私有する森には、この夏宿泊可能な手作りのログハウスも完成。山菜塾、野生キノコ塾など、私有地だから出来る活動を通じて森を開放している。「森を守るためにはどうしたらよいのか、林業家の視点で始めた活動です」と、自然林の森、植林の森、ホタル池など、森をめぐる道は5キロにも及ぶという。「いずれ、マップを作ってネイチャーガイドが案内出来るようにしたいですね」と岩田さん。自然豊かな森は、風が吹くたびに落ち葉のじゅうたんが厚くなっていくようだった。 (国)

地図(pdfファイル)

                

   

    

岩田さん

● オータムフェスティバル (問い合わせ)君津市観光協会亀山支部 TEL/0439−39−2969
● 野鳥観察会 (問い合わせ)NPO森林塾かずさの森事務局 TEL/0439−39−3140

  



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