村田川沿い草刈地区。かつて、ここに生まれたほとんどの人が泳ぎ、遊んだという草刈堰。子どもは大木から池へ飛び込み、村中が集まって楽しんだ簀立てでは、皆どろんこになって池の魚をつかまえた。昭和48年、河川工事で流れが変わり、取り残された堰はため池となった。今も豊かな自然が残る堰に再び村田川の流れを呼び込み、皆が親しめる公園にしたいと、地域の環境整備を進める『ほたる会』の加藤栄男さん(54)に、周辺を案内してもらった。
草刈からちはら台公園へと続く見晴らしの良い高台は、その昔上総国と下総国を分ける見張り台があったという六の台。豊かな水と緑に囲まれた堰周辺が一望できる。
「悪ガキどもは、みなカッパになって暗くなるまで遊んだもんです。今の時期には、ホタルもいっぱい飛んでいました」と加藤さんが案内してくれたのは、昔の自然環境を取り戻そうと会が整備した『ほたるの里』と『とんぼ池』。自噴井戸から吹き出す清流は、堰へと流れ込む。木道脇は、3種類の古代米が育つ古代米田。周辺では貴重なトンボも確認され、バードウオッチング、トンボウオッチングなど、自然観察には格好のスポットとなっている。
昭和56年、堰の一部を埋め立てて造られた『憩いの森』は、堰に隣接する村田川沿い。手入れされた公園の一角には、弁財天や水天宮など、水の守り神が祀られていた。「昔の堰は、上から水が流れ落ちる音からドンドンと呼ばれていました。八幡、千葉の利水のかなめとして、大昔から地域の人が命がけで造り守ってきた堰です」。池のほとりには、堰を見下ろす監視台にあったという堰見観音が団地造成に伴い移設されていた。
約400年前につくられた板羽目堰は、昭和20年にコンクリート堰となり、30年前の村田川治水工事後はラバーダムとなった。魚道がないので遡上するアユもここまで。公園前の村田川は、この時期格好の釣り場となる。川沿いに続く遊歩道は整備され、サイクリングを楽しむ人も多い。「草刈は、村田川の中流。川沿いの道は、途中ちはら台へ続く道路で分断されていますが、ちはら台公園を迂回すれば、ここから上流の瀬又まで往復しても7キロ程度です」と、水辺ウォーキングにはもってこいのコースだ。
もうひとつ、加藤さんオススメの立ち寄りスポットは『川焼不動尊』。ちはら台造成に伴い周辺は『まきぞの自然公園』として遊歩道が整備されている。不動尊までのルートは3つあるが、急な石段が続く旧参道口の湧水には、ペットボトル片手に水を汲みに来る人も多い。
豊かな水に恵まれた草刈。「危険だからと水辺から子どもたちを遠ざけるのではなく、子どもたちが思いっきり遊べる水辺をつくってあげたい」と、加藤さんは生まれ育ったふるさとの自然を再生し、次世代へ伝える。 (国)