日一日と寒さを増す、10月後半。寒い時期ならではの定番風景の一つといえば『こたつでミカン』。今年は、いつもよりおいしいミカンで冬支度しようと、市内唯一の観光ミカン園を訪ねた。自分でもいだミカンなら、味もまた格別なはず…。
やってきたのは市内海保。館山道側道から『今富』交差点を姉崎方面へ向かい2つ目の信号を左へ。緩やかな坂を上がり、そのまま台地上を車で直進し約1.5キロ。右手にログハウスが見えたらそこが『房総十字園』だ。
3000坪以上の敷地に、約1400〜1500本が植えられ、そのミカンは甘くジューシー。更に、適度な酸味もある。
「うちでは、極早生と早生のミカンを育てています。年末に出回るものと種類が違い、多少実が青くても食べられます。皮も剥きやすく、袋も柔らかで食べやすいですよ」と園主の苅米幸男さん(57)。おいしいミカンの秘密は、堆肥・有機質肥料を中心に施し、特に力を入れる土作りにある。害虫対策には、天敵を畑に放すことで農薬使用を極力減らす。他にも工夫がいっぱいの安全でおいしいミカンだ。
苅米さんに案内され、さっそく畑へ。常緑樹の鮮やかな緑の中、黄金色のミカンが鈴なりだ。枝はその重みで大きくたわみ、支柱が必要なほど。園内は急な傾斜がなく、膝の悪い方や車椅子でも楽しめる。青空には赤トンボが舞い、やわらかくなった秋の日ざしを浴びながら、甘酸っぱいミカンをお腹いっぱい食べ放題。時間制限がないのも嬉しい。良いミカンを見つけるコツは、まず木を見て、実が全体的に色づいたものを探すこと。その木から、さらに実がきれいに色づいたものを選ぶのがポイントだ。上手なもぎ方は左記の手順を参考に。お土産用のミカンも、自分で選んで木からもぎ、購入した袋に入るだけ、詰め放題だ。
お土産といえば、もう一つ立ち寄りたいのが、園内にある直売所。苅米さん宅では、幸男さんと息子の愛希さん(34)が作った農作物を原料に、奥さんの静代さん(57)、お嫁さんの真弓さん(32)が加工を担当する。自然の味を大切にしたジャムやお菓子、漬物などは、全て無添加。中でも、山菜おこわは特に評判が良く、季節物のイチジクジャム、オリジナルミカンジャム、もち米100%の揚げあられも人気商品。数は少ないが、白い納豆も目新しい。
たくさんのお土産を手に帰路、坂の上から臨海工業地帯の煙突が、青空にすっくと伸びているのが見えた。北からの風が冷たい10月。秋は確実に濃さを増している。 (野)