NO.102

風に吹かれて出かけてみれば

― 市原市天羽田 ―

落ち葉を踏みしめながら歩く『広葉樹の森』

 

 薪や炭にするための木を切り出したり、落ち葉を集めて堆肥にしたり。里山が人々の暮らしに深くかかわっていた当時、雑木林はいつもきれいに整備されていた。都市化と共に荒れてしまった里山を再生し、市民の憩いの場として開放されている『広葉樹の森』を天羽田(あもうだ)に訪ねた。

 館山自動車道姉崎袖ケ浦インターチェンジ周辺の6カ所、合わせて13ヘクタールでは、3年前より市と市原市森林組合の協働で里山の整備が進んでいる。「ここは、クヌギやナラなど、どんぐりの木を中心にした2・75ヘクタールの雑木林です。元々は私有地で、炭を焼くための木を切り出したり、落ち葉で堆肥づくりをする里山でした。ライフスタイルが変わり、人が入らなくなった山は背丈ほどあるシノダケとツルで覆われ、人を寄せ付けない山と化していました」と、整備前の様子を語るのは農業振興課の木藤啓さん(50)。共に案内してくれた市原市森林組合の小茶昌行(53)さんは「竹を取り除き、間伐、枝打ち、特に夏の下草刈りは大変な作業です。この辺りは、サンブスギ溝腐病でかなりの風倒木があった場所です。出来るだけ多くの種類の木を残し、ナラやサクラを数百本単位で植樹しました。手入れを怠らなければ、15年もすれば立派な森になるでしょう」と話す。
 当日も、山には13人が入っていた。声を掛け、谷津田を見下ろす山道を進む。斜面には伐採した木で階段が付けられ、里山をめぐる散策路には、所々ベンチも設けてある。フカフカした足下の感触は、切り出した木をチップにして敷き詰めてあるという。小動物のごちそうになったのか、空っぽになったヤマグリのイガがたくさん落ちていた。切り株には、見事なナラタケやめずらしいタマゴタケも生えていた。
 大きな掌状の葉が特徴のハリギリ、赤い実をつけたゴンズイやシロダモ、ヤツデのような葉形をしたカクレミノなど、常緑・落葉の広葉樹は園内に20種類以上。適度にアップダウンする道は、風が吹く度に落ち葉のシャワーを浴びる。夏、木材チップで育ったカブトムシは近隣の子どもたちを喜ばせた。秋、小鳥たちが赤い実をついばむ。すっかり葉が落ちて見通しの良い冬の里山は、バードウオッチングがオススメ。春、駐車場にあるキリの花が見事だという。人々の暮らしを支えて来た里山は、四季折々に楽しめる自然観察のフィールドとしても興味深い。
 12月末には、残る5・5ヘクタールも手入れされ『広葉樹の森』の整備は全て完了する。「今後は管理をきちんとしていかなければ、また元の荒れた山に戻ってしまいます。危険が伴う山仕事は、経験と知識が必要です。これまでは林業に就く人の研修も兼ねて整備を進めてきましたが、これからは市民ボランティアや地域住民と協働しながら里山の保全活動を進めていく予定です」という。
 6カ所のうち駐車場があるのは1カ所だけ。ここに車を置いて、谷津田をめぐりながら周辺の里山を歩くのもいい。(国)

地図

小茶さん(左)と木藤さん

ナラタケ

谷津田から見た里山

  



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